内容説明
京友禅絵師・浅川万葉が自宅で自殺した。偶然、彼の反物を展示会で見たキャサリンは、そこに文字のような不思議な模様を発見。浅川の死を殺人と見抜いた彼女が、ダイイング・メッセージ、密室、アリバイを鮮やかな名探偵ぶりで解き明かす表題作をはじめ、ミステリーの王道をいく全五編のキャサリン推理集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんすけ
1
短編集だ。おそらくキャサリンシリーズ最初の短篇集でないか。誰が言ったかは忘れたが、「推理小説の大気味は短編にある」とある。特に本格推理になると、長編は中だるみの観は拭えない。有名な長編本格小説は多いが、推理以外の要素、ロマンやアスピレイションがあって読ませるものが多い。だから、本格推理と冠しているもの全篇にそれが言えるのかは疑わしい。その意味で、本短篇集の中でも短い「謎の新聞広告」が興味深く読まされた。長編本格小説で全篇に推理的思考を走らせて読ませたのは、『樽』と『点と線』だった。2016/01/14