内容説明
忽然と出現した修行僧の屍、山中駆ける振袖の童女、埋没した「経蔵」…。箱根に起きる奇怪な事象に魅入られた者―骨董屋・今川、老医師・久遠寺、作家・関口らの眼前で仏弟子たちが次々と無惨に殺されていく。謎の巨刹=明慧寺に封じ込められた動機と妄執に、さしもの京極堂が苦闘する、シリーズ第四弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
357
箱根の山に《謎の禅寺》があった。名を”明慧寺”といった。たまたまこの寺に取材に来ていた中禅寺敦子と同僚たちは、彼らが宿泊した宿で、この寺の僧侶が殺された―― 捜査に乗り出す敦子たち、別件で近くまで来ていた京極堂に捜査を依頼するが、彼は渋って重たい腰をなかなか上げようとしない…… 寺では外界と隔絶された世界で独自の社会が形成され一般常識が通じないばかりか、対等な会話さえ成り立たない状況だった。謎の禅寺とは、通常日本における禅宗は『曹洞宗』『臨済宗』『黄檗宗』の3つであるのだが、明慧寺は何れにも属さない。2017/07/07
nobby
188
“悟り”とは何なのか、その素晴らしき幻覚を勘違いしたら魔境、それを受け流すためが修行、その手段として“不立文字”により座るのが“禅”。ここまでを何とか噛み砕きながら、まず“鉄鼠”の憑き物落としまでの900頁弱を堪能。埋もれた蔵の探索、存在すら記録にもないほど隔絶された明彗寺、時を超え妖しき唄声と姿を残す少女など、強烈な印象のまま物語全般にこれでもかと散りばめられた事象が見事につながり収束される後半500頁はお見事!この暗澹とした雰囲気のまま明かされる背徳に悶々としながら、ようやく檻から脱して安堵に浸る。2017/10/10
ちょろこ
160
心地よい疲労感の一冊。1370ページに怯んだけれど、子年だから挑戦。やっぱり一歩足を踏み入れたら戻れない、そんな世界観がたまらない。修行、禅なんて凡人の自分には到底理解できない世界だけれど、所々でふと柔らかな言葉というか心にするりと忍び込んでくるような言葉が現れる瞬間が良かったな。現状から出たい、出たくない、思い出したい、出したくないそんな人間心理もさりげなく表現されていた気がする。結局、自分もずっとこの物語の檻にまんまと囚われていた時間。無事に解き放たれた今、真っ先に包まれたのは心地よい疲労感。2020/08/29
takaC
157
厚い。重い。長い。高い。難解。細切れ読みしかできないのに細切れ読み向きではないという困った本でした。2014/09/13
荒野の狼
156
分厚い本で、第二次世界大戦後、数年たったころの時代背景で、禅関連の宗教用語が多い本だが、意外に読みやすく、一日少しずつ読んでいっても、2週間もあれば通読できる。登場人物の数が多く、そのうちの半分は僧侶なので、名前が覚えにくく、また、シリーズを読んでない読者にとっては、レギュラー陣の数も結構多いので一苦労。推理小説、妖怪小説のいずれとしても楽しめるが、本作品では、禅小説といってもよいほど、禅の有名な問答や、歴史、思想が無理なく詰め込まれており、作者の蘊蓄の深さには驚かされる。2012/09/15
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