内容説明
広島カープの黄金時代を演出し、のち大洋、オリックス、日ハムに多くの大器を送り出した男、木庭教。才能ある選手を求め、四十年にわたって日本全国を歩きまわったその足跡は、そのまま戦後プロ野球史である。球界を支える「影の男たち」=スカウトの哀歓にスポットライトをあてた傑作ノンフィクション。
目次
夏
薬売りのごとく
重いバット
怪童を生んだ時代
二人だけのパレード
ワンプレーによって
もうひとつの仕事
スカウト仁義
加州の目利き
番手買い
雨
著者等紹介
後藤正治[ゴトウマサハル]
1946年京都市生まれ。’72年京都大学卒業。ノンフィクション作家。’85年『空白の軌跡』(講談社文庫)で第4回潮ノンフィクション賞、’90年『遠いリング』(同)で第12回講談社ノンフィクション賞、’95年『リターンマッチ』(文芸春秋)で第26回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山田太郎
41
ブックオフで100円だったが、けっこう面白く、もうけた気分。しかし、ちょっと昔の話なんでその後の評価が結びつくというかそうじゃないようなもやもやした気分です。2013/06/04
団塊シニア
40
広島カープの黄金時代を演出した名スカウトマン木庭教、5年前に81歳で亡くなったが、才能ある選手を求め40年にわたり全国を歩き回った足跡が浮き彫りになりプロ野球の歴史がわかる一冊である、役員になってもスカウトに指示するのが性にあわない、現場一筋、「人間みな平等じゃないか」という考えが根底にあり、内容の濃い一冊です。2013/08/13
たーくん
12
プロの夢と現実を肌で知る男の物語。衣笠祥雄、達川光男、大野豊、三村敏之、池谷公二郎、川口和久、高橋慶彦、長嶋清幸、正田耕三、金城基泰……無名の選手を発掘する目利きの男。広島カープの黄金時代に貢献し、のち大洋、オリックス、日本ハムで40年以上のキャリアを重ねるスカウト木庭教(きにわさとし)。プロ野球を陰で支える男の愛すべきドラマ。 2019/08/26
Ikuto Nagura
8
老スカウトの人生を通し、日本人とは何かを問う傑作。戦後教育による個人主義の蔓延が日本を悪くした元凶だと主張する人たちがいる。彼らは言う、公のために個があるのが日本の伝統だと。胡散臭い言説だと感じていたが、古き良き日本人の典型として書かれる木庭の姿を読み、その思いは更に強くなる。戦前の教育を受けた木庭でさえ、全体主義と責任を取らない戦争指導者を嫌悪し、個人として責任を持つことを信条として仕事に臨む。ひとりひとりの人とのつながりを大切にする。そんな個の力が結集して市民球団カープを盛り上げる。個が公を創るんだ。2015/04/19
きよにやコータロー
7
僕とノンフィクション野球物語が出会った作品です。