内容説明
鎌倉幕府倒壊の焦点に立つ鮮烈な個性、後醍醐の掲げた強大な「天皇」の理念は、足利直義の政権構想との角逐の中で挫折し、「状況派」尊氏によって、南北朝分立への道が開かれる。そして、新たな武家政権の三代将軍は、両朝を合一し、公武両者の頂点に君臨する「義満の院政」を構築する。14世紀、変革の時代相を斬り取る。
目次
序章 「歴史」としての『太平記』
第1章 動乱前夜
第2章 帝王後醍醐
第3章 将軍足利尊氏
第4章 『太平記』の世界
第5章 社会統合の転換
第6章 北山殿源道義
終章 南朝の行方―物語の場としての歴史
著者等紹介
新田一郎[ニッタイチロウ]
1960年生まれ。東京大学文学部卒、同大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、東京大学大学院法学政治学研究科・法学部助教授。日本法制史・中世史専攻、余技に相撲史の研究も
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感想・レビュー
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ゲオルギオ・ハーン
17
鎌倉幕府末期から後醍醐天皇による建武の新政、そして室町幕府の成立から足利義満前後までを範囲とした一冊。日本史における室町幕府の位置よりも太平記に沿って歴史学的解釈で概説していくので個人的に興味を持った事柄が出てきては次に進んでしまうので消化不足。室町幕府は武家と公家の同化を意図しながらも結局が分かれてしまい、さらに地方が独立性を高めて戦国時代の下地を作り出しているようでなんとも矛盾した時代のように読めた。原因としては室町幕府の指導力が将軍の政治感覚次第だったせいだろうかと思った。2021/02/01
umeko
8
何となく後醍醐という人がつかめてきたか。足利義満も「金閣寺」と「一休さん」のイメージしかなかったが、なかなかのやり手だったことも印象深い。2017/06/28
空木モズ
0
始めの辺だけ2015/01/30
いせやん
0
鎌倉から室町にいたる公家と武士のせめぎ合い、両者の平行した変質、互いに利用し利用される関係を描いた歴史書。難しかったけれど、武士vs公家というイメージしかもっていなかったので、とても興味深かった。2013/05/30
DEN2RO
0
南北朝から義満の死までを取り上げています。後醍醐天皇が日本の支配制度を根底から覆そうとしたこと、逆に義満が公家社会に入り込むことで幕府中心の政治体制を築いていったことが明晰に述べられています。人には物語が必要であり、歴史もその一つであることがよくわかります。2013/05/05
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