ガダマー―地平の融合

ガダマー―地平の融合

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  • サイズ B6判/ページ数 273p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062659123
  • NDC分類 108
  • Cコード C0010

内容説明

解釈学とは何か。地平の融合とは?日本初のガダマー哲学の解説書。付・略年譜、キーワード解説、読書案内。

目次

プロローグ ガダマー・ハイデガー・三木清
第1章 哲学的解釈学
第2章 真理と方法
第3章 地平の融合
第4章 言語の存在論
第5章 論争―ガダマー批判
エピローグ ガダマー哲学のアクチュアリティー

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

39
この度、出るとは思わなかった『真理と方法』の新装版が出揃いました。いつか挑戦してみたいと思います。イーグルトン『文学とは何か』で(確か)実存主義とはいわずに解釈学となっていたことが解釈学との出会いでした。「いかなる解釈も、現在の「解釈学的状況」を基盤としている。ところが、その解釈学的状況は、たいていは「被解釈性」に浸されている。」とは要するに人間のことで、今考えるとハイデガーの存在忘却の闇において覚醒や本来性をめざす「現存在の解釈学」につながるのは明らかです。そもそも「解釈」という行為自体が近代性そのもの2022/01/21

袖崎いたる

8
現代思想の言語論的転回の流れは解釈学においても診られるらしく、ハイデガーが「これが私達のハウスね」と宣ったお陰で存在論的哲学と地平の融合を来したとのこと。また、著者が三木清推しらしく、その兼ね合いからもガダマー検討がなされているのだけど、三木は過去志向的な解釈学に対して未来志向の含みを持った修辞学の領野を1938年に開拓したようで、この修辞学とやらが「これは文学で、あれは文学じゃない!」みたいな公準を嘲笑う匂いがして気に入った。しかしこの言語論的展開の雰囲気が掴めると下手にわかっちゃうのは問題な気がする。2016/12/11

Shin

7
あまり馴染みのないガダマーだけど、地に足のついた、重厚かつ堅実な思考と論理の積み重ねには「これぞ哲学」と唸らされる。人間は歴史的存在であり、過去のテクストと「地平の融合」を通じて新たな理解を生み出す契機を持つ、という考え方は、理性というものが機能化してしまった現代において、どこか懐かしく優しい響きを持つ宣言ではある。いろいろと批判も呼びそうな思想ではあるけれど、著者も指摘するように、このあとのポストモダン思想の論点は概ねガダマーによって先取されているように思えてしまう。地味だけど凄いぞガダマー。2012/09/17

うえ

6
「ガダマーは、プラトンのイデア論を解釈しながら、そのパラドックスを解明しようとしている。プラトンの形而上学において、イデアと現象との関係こそ、最も重要な問題であるとともに、最も難関な問題である。現象はイデアを分有する。しかし、イデアは永遠に実在し、現象は生成消滅をまぬがれない。この問題をどのように考えるべきであろうか。ガダマーは美に注目する…美的現象は、ヘーゲルが述べているように、美のイデアそのものの「映現」である。美のイデアと美的現象とは不可分である。美は、「一にして多」であり、無限にして有限である」2016/03/24

とんこつ

5
人間は自身の生きてきた生活世界での伝統(先入見)にとらわれて生きており、それを自身を閉ざすものとして否定的に取り除いてしまうのではなく、むしろ自身を開いていくものへと肯定的に捉えることはできないか。ガダマーの提唱する地平の融合──過去を現代の地平に媒介させることによって現代的な存在に昇華し認識すること──はそのような問題意識に立脚している。ガダマー解釈学とは、静的な理論ではなく、個別と特殊の間や、相対と絶対の間などを揺れ動き続ける、「今」、そして「自己」を理解するための不断の思惟運動のことを言うのだろう。2016/11/02

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