内容説明
完全密室、時刻表トリック、バラバラ死体に童謡殺人。フーダニットからハウダニットまで、12の難事件に挑む名探偵・天下一大五郎。すべてのトリックを鮮やかに解き明かした名探偵が辿り着いた、恐るべき「ミステリ界の謎」とは?本格推理の様々な“お約束”を破った、業界騒然・話題満載の痛快傑作ミステリ。
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ぷりん本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
627
全12章+オマケ2篇からなる。いずれも短く、ほとんど掌編のサイズ。作品のタッチも、他の東野圭吾のそれとはかなり趣を異にする。大河原警部と探偵の天下一は、ほとんど漫才コンビのよう。いずれのお話も探偵小説のトリックを用いているが、それがいわばギャグのごとく扱われる。設定の無理もなんのその。リアリティは最初から捨てているので、それが逆に妙な強みを発揮したりもする。つまり、作者自らがミステリーを揶揄しているのであるが、それでもかろうじてトリックが機能しているのだから、気楽に書いているように見えて、案外に⇒2023/04/12
Tetchy
555
とにかく普通の短編集ではない。本書で語られるのは物語ではなく、本格ミステリという作り物の世界が抱える非現実的な設定や内容に対する揶揄や疑問のオンパレードなのだ。但し一応トリックもあるので作者の数あるトリックネタの棚卸しなのでもあろう。これは東野氏の本格ミステリからの訣別の書なのか?いやいや逆に本格ミステリを愛するが故の提言と理解しよう。逆に云えば、ここには本格ミステリが抱える不自然さを敢えてこき下ろすことでその後の自作については決してそんな違和感を抱かせないぞと、ハードルを挙げているような感じさえ取れる。2011/12/04
Kircheis
470
★★☆☆☆ 東野氏の『本格』への熱い想いが詰まった作品。 あえて強引に言うと「自分はこんな駄作は書きません」的な宣誓書。 全編ありきたりなミステリしか書けない凡庸な作家や過去のトリックを真似したような作品に対する皮肉とブラックジョークで埋められているが、一番皮肉られてるんは頭を使わず活字だけをぼぉ~っと追っている私たち読者かもしれない。 内田康夫さんが生前にこれを読まれてたら激怒したのでは?(^_^;)2019/02/21
青乃108号
413
東野圭吾作とは考えにくい程、軽く読める、推理小説の数々の【お約束】をパロったメタ短編集。各話短編なので事件発生からすぐに名探偵登場、そしてあっと言う間に事件が解決してしまう。ストーリーなど不要とばかり、どんどん割愛されていく様は爽快でさえある。ネタにされるのは【密室】【ダイイングメッセージ】【2時間ドラマ】【首なし死体】などなど。いかにもあるあるな状況ばかりで笑わせてくれる。が、短編集の常として続けて読むと飽きて来る。長編小説をがっつり読んで疲れた時、気分転換に少しずつ読むのに丁度良い感じで面白い。2022/03/24
takaC
363
ゲラゲラ笑いながら読んだ。痛烈批判というか皮肉たっぷりというか。意見にはすべて肯けるのだが、そういうベタベタなミステリーはそれはそれでそういうジャンルとして好きなのだ。2007/10/06