内容説明
19世紀初頭のロンドン。夜会が開かれた貴族の館で当主の息子が殺された。召使い、妻、議員ら参会者の誰もが疑わしい。依頼を受けた社交界の伊達男ジュリアン・ケストレルが上流階級の隠微な扉を開くと、事件は思わぬ過去の惨劇へと繋がっていく…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sosking
8
イギリス(英国)の1820年代を舞台とした探偵小説。移動は馬車で、科学的な捜査が無く、目撃証言や自白が証拠となる時代のお話。結構ページ数もあるが1日で読み切りました。2025/01/13
造理
8
★★★☆☆ イングランドの上流階級、社交界の描写が丁寧に描かれており雰囲気抜群。いわゆる「館もの」ではなく帯にあるような「密室殺人」でもないような気がし、若干やられた感が(笑)しかし人物描写が素晴らしく、ジュリアンの伊達男っぷりに惚れました。2016/06/06
円盤人
4
貴族探偵ジュリアン・ケストレルの2作目。出版時期がら新本格を気取ったような邦題であり、案の定「館」は惨劇の場所に過ぎないが、日本人が変名で書いたと言われても納得しそうなほどの古典スタイルな本格ものだった(ロスはアメリカ人)。真相の構成には甘さが残るものの、ウーマンリブが裏テーマであり、被害者の人間性が解決の焦点になる点などは「現代」を感じさせる。作者は近代ヨーロッパに強いロマンを感じ舞台を選んだのだろう。残念ながらわずか4作で夭折してしまうが、幻の本格作家として再評価を受けてもおかしくないレベルだと思う。2020/01/24
シーラ
1
19世紀初頭のロンドン。推理小説、なのだが、ファンタジーっぽい。2012/01/10
madhatter
1
再読。本作に限った話ではないが、「こいつは嘘はついていない」と、何故自信を持って言えるんだろう…だからこそ、本格推理として認めたくないんだろうか。それはそうと、自らの性格の悪さを露呈するようだが、ケストレルものの中では本作が一番好きだ。本作における一番の謎は、アレクサンダー・フォークランドの死自体ではなく、彼という一個の人間であろう。事件の推移は、果てしなく胸糞が悪いものだが、それが面白い(私は駄目な人間です)。だが「○○になれる」という○○の気持ちには、今になってみるとわかるようなところもないではない。2010/10/14
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