内容説明
瀬戸内海べりの岬の分教場に赴任してきた「おなご先生」と12人の生徒たちとの心のふれあいを描いた愛の物語。悲惨な戦争がもたらした不幸と苦難をのりこえて、終戦後成長した生徒たちに招かれるが、「おなご先生」が再び二十四の瞳に出会うことはなかった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
84
二十四の瞳は言わずと知れた名作だが、原作者をしっかりと読んだのは初めて。子どものころに読んだものは簡易版か。戦争に関しての作者の思いが強く出ていた記憶がまるでない。小さな女の先生と一年生12人の触れ合い……大石先生を、小石先生と呼び親しんだ子どもたち。そんな話だと思っていた。大石先生が一年生を受け持ったのはほんの数ヶ月。そのこどもたちとの20年が描かれる。たった12人の子どもたちが戦争で死に病気で死に、死なぬまでも戦闘で目を失う。自分の夫も戦死し娘も亡くす。これは戦争の悲劇を書いた小説だと改めて知った。2015/09/05
jackgingereric
2
いつか読もうと思っていた作品。作者の人となりや思想が強くあらわれていました。学校や先生の子供たちがとてもかわいらしく、無邪気でいじらしい。2013/06/26
cotton
1
一人の女教師を中心に、戦争の悲痛さを柔らかく記述した本。回りくどい表現が少なく登場人物の感情が直接的に表現されることから、文学作品というよりは戦時中の日本国民の様子を伝える思想本に近い印象。この版は細かい注釈が付いており非常に読み易いため、子供だけでなく時代背景に明るくない最近の若い人にもおすすめ。2012/07/25