出版社内容情報
子どもたちを力強く描く著者のデビュー作。小学校6年生のサブを中心に、けんかあり、友情あり、北海道の大自然の中でおおらかにすごし、たくましく成長していく子どもたちの姿をいきいきと描いた力作。 小学上級から
内容説明
六年生になった新学期。担任の新米先生・キリコに、サブたちはいたずらをしかけるが、まるで歯がたたない。やがてキリコを中心に、クラスは一つにまとまっていく。北海道石狩平野の自然を舞台に、たくましく成長していく子どもたちの姿を描いた長編力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぱせり
9
小学生でも一家の大事な働き手であるサブたち。隙間のわずかな時間を無限大に変えて遊びきるサブたち。読みながら手足がぐんと伸びるような気がした。働いても働いても貧乏だ、という農家に育ちながら、サブの大きな夢は百姓になることなのだ。なんと輝かしい財産をもっているのだろう、父さん母さん。2013/07/14
april-cat
8
後藤竜二さんの作品だったので手に取りましたが、大変興味深い本でした。初期の作品なので、すこしまだこなれていない部分もありますが、作者の出身が北海道ということで、たぶんに実体験が投影されていると思われる農家の生活が生き生きと描かれています。主人公の家族の雰囲気がなんとも言えずいいんです。「いい」っていうような簡単な感じじゃないんですが、なんというか大地に生きてるっていう骨太な感じ。お兄さんたちの今後も知りたい。続編があれば読みたいです。これだけたくましい児童書は昨今にはないかも。2012/06/11
丘野詩果
7
児童書なのですぐ読めるから図書館内で読了。約1時間で読めた。森谷三郎は8人家族だ。食事中にはおしゃべりが盛んで、笑いが絶えない。担任のキリコ先生はその雰囲気にひかれてたびたび訪問するようになる。農家の手伝いをするサブは朝早くからの手伝いで授業中眠くなるけれど、キリコはそれを十分評価している。ひとクラスが56人てすごい人数だけど、ちゃんと目が行きとどいているんだね。飾り気のない優しい両親、シドは高校の成績10番以内、ジョウは剣道大会優勝、妹は小学生なのに料理上手。一番上のお兄ちゃんノブとキリコの先が楽しみ。2016/03/13
Sanchai
5
小学校時代の愛読書。少なくとも在学中に3回は読んだ。新米のキリコ先生は僕らの憧れだった(僕らの小6時代の担任のツヤコ先生は、僕らの親よりも歳が上だった…)。その後、30代後半になって一度、そして十数年後にもう一度読んだ。読むたびに新たな発見がある。なんだか、大学紛争の影響や高度経済成長の陰で進んでいた地方産業の斜陽化の兆しが所々に感じられる小説だ。しかも、今なら考えられない5人兄弟ときた。兄弟が多いのもいいもんだと改めて思う。子供達に読ませてやりたい。2012/09/29
斑入り山吹
5
1967年に出たぼろぼろのハードカバー版を夫の実家で見つけた。家族で大事にしている本らしい。ははぁ、とありがたく読ませていただいた。後藤氏の作品はキャプテンシリーズしか読んだことがないのだけれど、それと比較してもこの本は若書きというか、筆の止まらないところがあるようだし、構成も微妙なところがあるし、でも興味深かった。ずいぶん自伝的要素が多いのではないか?夫と話して初めて分かったが、安保の世相を若者が反映しているのだな。ああいう先生がいればいいな。会ったことないけど。主人公ができる奴、って昔の本は基本だね。2012/08/31