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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
南北
47
日本は白村江の戦いで敗北し、天智天皇は近江へ遷都する。大海人皇子の娘である十市皇女は高市皇子への想いを断ち切れないまま大友皇子と結婚、大海人皇子の妻である大田皇女は大伯皇女と大津皇子の2人を残したまま亡くなり、讃良皇女も大海人皇子から戦友と思われて愛されている実感が持てない。高市皇子のように十市皇女への想いが続いている男性もいるが、多くは政治にのめり込んで女性たちの想いに気づかないまま物語は進んでいく。万葉集から和歌が掲載されているが、歴史的な背景がわかって味わい深く感じる。2025/01/29
そら
37
両親が同じ兄と妹で愛し合う。異母きょうだいで愛し合う。いとこ同士で結婚。姉妹そろって叔父さんに嫁ぐ。一夫多妻。昔の皇族ってなんて窮屈な世界なんだろうか、、(--;)。愛憎劇がややこしいわ~💦相関図書きたい(笑)。中臣鎌足の息子が藤原不比等、そうだったんだ。大友皇子は天智天皇の息子だけど、母親が皇族でなかったので、本来なら天皇にはなれない。なんとなく哀れなイメージがあるけど、性格悪く描かれてるのが残念。。2020/12/03
椿
17
叔父姪や異腹兄妹などの近親婚が多いので、系図も複雑で分かりにくい。姉がいることで、自分は永遠に二番めの妻だということに衝撃を受ける讃良。頑張っても、女と見てもらえずに戦友と言われてしまう。賢い人なんだよね。姉の死で名実ともに第一妃になったけど、夫には沢山の妻がいるので嫉妬は止まらない。苦しいなぁ。2016/02/29
荒野の狼
15
里中満智子による奈良時代前後の漫画は三作あり、本作は時代的には最初のもの。私は時代的には最も新しい「女帝の手記」から読み、その前の時代の「長屋王残照記」を次に読んで本作を最後に手に取った。本作が他二作より優れているのは、登場人物が語る恋愛思想・人生哲学の数々のセリフである。他二作では、得られる歴史知識による満足感(歴史漫画あるいは学習漫画の読後感のような)はあるのだが、本作はそれにとどまらず、歴史を全く抜きにしても恋愛・人生哲学の書としても高いレベルの作品となっている。2021/07/04
毒兎真暗ミサ【副長】
13
大海人から最愛の妻である額田女王を奪った中大兄。同じく大海人の妻である讃良は額田からの「歴史をつくるのは女」間人皇女からは「貴女は夢を惹きつける」とのそれぞれの確信を受け、政治学への情熱を抱く。全ては夫、大海人のためであるが讃良の才能にいち早く気づく高市皇子、柿本人麻呂の年下勢が愛おしい。百済との政治背景と同時進行の三角関係。その流転にも係わらず、愛媛に向う「熟田津に〜」から始まる額田女王の歌の潔さよ。巻末、天智天皇の誕生に孤独の闇が付き纏い、その波乱ゆえに女の情が産まれる事に、彼女はまだ気づいていない。2022/07/29