出版社内容情報
喜多川歌麿の「狂歌絵本三部作」、『画本虫撰』『百千鳥狂歌合』『潮干のつと』を翻刻。のちの大家たちの、幸せな出会いの結晶。時は天明、寛政の改革前の江戸。
まだ習作に励み画力を磨いていた新進気鋭の絵師・喜多川歌麿。
一方文人たちの遊びか本気かの試みが大成功、すっかり江戸に定着していた「天明狂歌」。
そこに遊び心か商魂か、目を付けた新興版元・蔦屋重三郎。
これらを組みあわせたら――江戸中期のコラボ企画「狂歌絵本」はこうして生まれる。
本書はそのうち歌麿三部作と呼ばれる『画本虫撰』(えほんむしえらみ、1788)、『百千鳥狂歌合』(ももちどりきょうかあわせ、1789)、『潮干のつと』(しおひのつと、同)を選書サイズで翻刻。美人絵の代名詞・歌麿の描く「虫・鳥・貝」は、大胆な筆致と実験的な印刷技術により、美しくも得体の知れない迫力を生み出している。唐衣橘洲・四方赤良・朱楽菅江「狂歌三大人」を初めとする狂歌は、後半に作品内の同じ位置に活字に変え配し、語釈を加えたものを併録。そして解説では歌麿、蔦重、そしてそれらの時代背景について説明する。
才能と時代の幸せな出会い。ある一時期、その場その時にしか生まれない勢い。若いときにしか、できないことがある。歌麿が大首絵を創出、美人絵の大家に上りつめるのは、まだ少し先の話。
まえがき 歌麿狂歌絵本の魅力
凡例
「狂歌絵本」について
狂歌絵本の定義/江戸時代の「狂歌絵本」がどのようにして起こったか/狂歌絵本いろいろ 葛飾北斎「絵本隅田川両岸一覧」 宿屋飯盛「吾妻曲狂歌文庫」 竹杖為軽「絵本見立仮譬尽」
「画本虫撰」
「百千鳥狂歌合」
「潮干のつと」
語釈
解説―歌麿狂歌絵本の生まれた背景と三部作―
幼少期の歌麿/絵師としての出発/蔦屋重三郎とのかかわり/蔦屋重三郎の本屋創業と展開/狂歌界とのつながり/江戸での狂歌流行のはじまり/狂歌会の拡がりと「天明狂歌」/四方赤良の時代と狂歌撰集の出版/狂歌界の翳りと蔦屋の策/絵入り狂歌本・狂歌絵本の刊行/歌麿三部作の姿
主要参考文献一覧
喜多川 歌麿[キタガワ ウタマロ]
著・文・その他
菊池 庸介[キクチ ヨウスケ]
編集
内容説明
時は天明、十八世紀後半の江戸。習作に励んでいた喜多川歌麿は、この「狂歌絵本」三部作で名を揚げ、のち大首絵で人気を博し、美人画の大家への道を歩み出すことになる。唐衣橘洲・四方赤良・朱楽菅江らがブームを呼んだ天明狂歌、飛ぶ鳥を落とす勢いの出版プロデューサー・蔦屋重三郎、そこに寄寓し腕を磨く、将来を嘱望された天才絵師―。ここにあるのは才能たちの、幸せな出会いの結晶である。
目次
「狂歌絵本」について
『画本虫撰』
『百千鳥狂歌合』
『潮干のつと』
拡大ギャラリー
翻刻(『画本虫撰』;『百千鳥狂歌合』;『潮干のつと』)
著者等紹介
菊池庸介[キクチヨウスケ]
1971年、栃木県生まれ。静岡大学人文学部卒業。学習院大学大学院人文科学研究科博士後期課程単位取得済退学。博士(日本語日本文学)。福岡教育大学教授。専門は日本近世文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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