講談社選書メチエ<br> 記号創発ロボティクス―知能のメカニズム入門

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講談社選書メチエ
記号創発ロボティクス―知能のメカニズム入門

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  • サイズ B6判/ページ数 240p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062585804
  • NDC分類 548.3
  • Cコード C0310

出版社内容情報

人工知能の開発やロボット研究の最前線を紹介しながら、「知能とはなにか」「ロボットに心は持てるか」を問う、スリリングな論考!人工知能の開発やロボット研究の最前線を紹介しながら、「知能とはなにか」「ロボットに心は持てるか」を問う、スリリングな論考!

人間は成長するに従い言語コミュニケーション能力、運動能力を獲得していく。同様のプロセスをロボットに行わせることが研究されている。
脳を代替させる演算装置にはアルゴリズム、数理モデルを作り、目の代わりになる視覚センサで世界を認識し、運動器の代わりになるモータなどで反応し行動を起こす。
人工知能研究者やロボット研究者の仕事は、「知能を創ること」とも言える。本書では、記号創発ロボティクスのアプローチを紹介し、知能のメカニズムに迫る。

第一章 ロボットが心を持つとき
 意識と心と言語と/発達する知能の計算論的理解/とあるロボットの話/
 とある子供の話/環世界と「認知的な閉じ」/
 人間とロボットの知能は何が違うのか/人工知能研究者の二つのモチベーション/
 構成論的アプローチと計算論的理解/ロボットとコンピュータの違い/
 記号創発ロボティクス
第二章 自ら概念を獲得するロボット
 ロボットから見た世界/概念の循環参照/物体概念の存在意義/
 「概念形成は不可能だ」と哲学者は言った/クラスタリング入門/
 物体概念を獲得するロボット/ロボットによる視覚情報の取得/
 ロボットによる聴覚情報の取得/ロボットによる触覚情報の取得/
 マルチモーダルLDA/マルチモーダル物体概念形成の実験/
 物体概念の身体依存性/ロボットと物体概念
第三章 自ら言葉を学ぶ知能
 物の名前を学ぶ知能/単語獲得と形態素解析/ベイズ教師なし形態素解析/
 n-gramモデル/階層Pitman-Yor言語モデル/
 ブロック化ギブスサンプリングによる形態素解析/相互分節化仮説/
 マルチモーダル概念形成と教師なし形態素解析に基づく語彙獲得
第四章 潜んでいる二重分節構造
 実世界データから単語を見出す/二重分節構造/単語の意味と音素の無意味/
 二重分節データ生成過程/時系列データからの二重分節構造推定への挑戦/
 二重分節解析器/非分節動作からの模倣学習/
 自動車運転挙動における文脈切り替わり点の検出/
 二重分節構造を用いた予測/生成と認識に潜む二重分節構造
第五章 ロボットは共感して対話する
 ただひとこと「取って」と言われたら何をしますか?/
 共有信念に基づく会話/マルチモーダル対話を実現するロボット/
 信念システムの計算論/全体信念関数による曖昧さの理解/
 敢えて曖昧に話すロボット/ロボットと人間は「ツーカー」の関係になれるか/
 共有信念がつくる内と外
第六章 構成論的アプローチ
 構成論的アプローチとはなにか?/認知発達ロボティクスと構成論/
 複雑系と構成的方法/構成論的アプローチと科学的アプローチ/ ほか


谷口 忠大[タニグチ タダヒロ]
著・文・その他

内容説明

人間は成長する過程で言語コミュニケーション能力、運動能力を獲得していく。同様のプロセスをロボットに行わせることが現実化している。コンピュータ、視覚・聴覚・触覚センサとモータを持ったロボットは人間に接近していく。人工知能・ロボット研究者の仕事は、「知能を創ること」でもある。記号創発ロボティクスは、工学と哲学を架橋する。

目次

第1章 ロボットが心を持つとき
第2章 自ら概念を獲得するロボット
第3章 自ら言葉を学ぶ知能
第4章 潜んでいる二重分節構造
第5章 ロボットは共感して対話する
第6章 構成論的アプローチ
第7章 記号創発システム論

著者等紹介

谷口忠大[タニグチタダヒロ]
1978年、京都市生まれ。京都大学工学部物理工学科卒業。2006年、同大学院工学研究科博士課程修了。博士(工学)。2005年、日本学術振興会特別研究員。2008年、立命館大学情報理工学部助教、2010年より同准教授。計測自動制御学会研究奨励賞、システム制御情報学会奨励賞・論文賞・砂原賞などを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

WATA

58
「人はどうやって物を認識するのか」「人はどのように言語を獲得するのか」という哲学・心理学の最大の謎に、工学的な視点で挑もうとする意欲的な1冊。研究の具体例として、学習しながらモノを分類していくロボットや、アルファベットの羅列を単語ごとに区切っていくシステムが紹介されている。どちらもほぼ前提知識無しで動作しており、幼児の学習環境に近い。本書を読んで、人と同じように学習する機械が構築可能である、ということにとても驚いた。この手法がさらに発展していけば、人間の知能のしくみももしかしたら解明できるかもしれない。2014/07/22

りょうみや

26
心や知能は哲学においても重要な分野であり、それらのロボットへの実装(構成論的アプローチ)によってこれらの概念を明確化しようとする従来の哲学に対する挑戦的意気込みが本書にある。著者は心や知能は自然言語では定義しきれないというがそのとおりだと思える。具体的には自動学習による概念の獲得、言語理解、他者との共有信念の獲得など。認知科学(脳科学)と人工知能は双子の関係だと他書であったがそのことを深く実感できる。2022/09/20

月をみるもの

12
ビブリオバトルの考案者として有名な谷口さんが、自身の研究内容について語った本。執筆/出版の時期が、ちょうど Deep Learning 勃興直前なんで、この後、なにが変わって、なにが変わってないのかをまとめた本も書いてもらいたいところ。自然言語解析は BERT で世界変わったかと思ってたら、GPT-3 でさらにすごいことに。。 https://twitter.com/gijigae/status/12858085293626613792020/07/25

Haruki

5
人間が言語を操り心を持つメカニズム探究の視座として、認知的な閉じ(自分のモダリティで閉じた情報取得システム)のミクロループの中でどのように言語や意味を生成するか、を動機とする。その方法論としてロボットによるミクロループを形成し、記号的秩序の獲得ができるか(概念的分類、形態素解析、二重文節構造の理解、共通信念形成)を構成論的アプローチとして進めている。意味獲得へはミクロループ個体に加え、個体集団の相互作用で形成・創発される大域的秩序構造(≒言語)があり、かつその制約が個体に還るミクロマクロループ構造を構想。2023/12/11

デコボコ

5
機械学習とか構成論的アプローチとかの予備知識をある程度持っている自分からすると、やや物足りなかった。具体的なアルゴリズムの話がほとんどなかったので。n-gramといったキーワードは散見されたので、自分で勉強しろということでしょうか。 逆に言うと、予備知識がなくても十分楽しめます。 教師なし機械学習というのはここまでやれるものなのかという驚きが半分、そりゃ出来るよなという納得が半分でした。2014/08/06

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