講談社選書メチエ
中国「反日」の源流

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  • サイズ B6判/ページ数 250p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062584906
  • NDC分類 210.5
  • Cコード C0320

出版社内容情報

「反日嫌中」の本質とはなにか?     中世以降の日本と中国の政治体制、社会構造の分析から、「反日」の源流をあぶりだし、問題の本質を明らかにする。李鴻章、伊藤博文らの思惑と、現実とは。

内容説明

たんに「愛国」ということなら、日本人の多くも異存はない。日本にもナショナリズムはある。いわばおたがいさまのものである。自尊の意識なのだから、それがある程度の排外をともなうのも、常識の範囲内であろう。しかし中国の場合、現代日本人がわからないのは、まず日本がその排外の対象となり、それがいっこうに改まらないことにある。「愛国」が「反日」とイコールでむすびつき続ける中国人の心情と思考が、不可解かつ不気味なのである。倭寇の時代から現代まで歴史が明かす「反日」の本質。

目次

第1部 「近世」の日本と中国(東アジアの一八世紀;統治のしくみ;明から清へ;マクロな動向)
第2部 「近代」の幕開け(一九世紀をむかえて;西洋近代との邂逅;開港と開国;動乱の時代)
第3部 近代日中の相剋(近代日清関係の始動;日清対立の深化;「洋務」の時代;愛国反日の出発)

著者等紹介

岡本隆司[オカモトタカシ]
1965年、京都市生まれ。現在、京都府立大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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韓信

3
ヘイト本のようなタイトルだけど、いたって理性的な日中近世・近代比較史。日中の相互無理解は各々の社会構造・統治構造の相違に淵源するもの、という論旨で、王朝と民衆の乖離と、両者を繋ぐ宗族や会党ら中間団体が跋扈する明清中国社会を包括的に解説する。官と民の距離が近く剛構造で、開国後は即座に西洋から体系的に学問を摂取しえた日本と、経済発展に伴う社会の流動化も包括できる柔構造だが、国際法の世界への適応に後れをとった中国の差異が説得的に描かれ、非常に示唆に富んだ内容。なぜ文庫化時にタイトルを変えなかったのか悔やまれる。2020/09/16

Hiroki Nishizumi

3
あとがきの「急がば回れ」が深い2017/11/27

宣和堂

3
ちびちびと読んでいたのをついに読了。岡本センセの本の中では17世紀~19世紀の日中の対比からその違いを主題にした本。あんまりな題名だけど、1905年の北京条約をその端緒としてそこに至るまでの経緯をまとめているので、題名に偽りはないものの、おそらく、題名につられた人たちはこの本の内容は肩すかしなんじゃないかしら…。ともあれ、内容的には清末というかアヘン戦争以後に重点を置いているモノの、康熙帝と徳川吉宗のデフレ経済策の対比などはこの本のみの特徴と言える。経済的な見地から清朝を捉えるには必読といっていい良書。2017/05/20

GEO(ジオ)

2
近代中国史を専門とする岡本隆司氏による、中国人のナショナリズム形成についての本。特に日本人にとって、非常に不可解、かつ理解しがたい「反日」について、近代中国史を紐解きながら語っていく。 テレビなどでは、「中国人の反日は、江沢民時代に強化された反日教育によって~」などと説明されるところだが、その淵源はもっとずっと深く、古い。 タイトルはひょっとすると、昨今流行りの「愛国ポルノ」のように見えるかもしれないが、内容はいたってアカデミックで、近代中国にあまり詳しくない人にとっては、非常に勉強になるはず。2016/08/21

HANA

2
主に19世紀の日本と清の体制の違いから、反日意識がどういう風に芽生えて行ったのかを検証している。これを読むとどっちもどっちというか、中国の誤解と無知による部分が多いようにも感じられるなあ。清末期の情勢は阿片戦争と太平天国くらいしか知らなかったので、体制からわかりやすく解説されているので非常に役に立った。2011/03/25

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