講談社選書メチエ<br> 薩摩藩士朝鮮漂流日記―「鎖国」の向こうの日朝交渉

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講談社選書メチエ
薩摩藩士朝鮮漂流日記―「鎖国」の向こうの日朝交渉

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  • サイズ B6判/ページ数 213p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062584470
  • NDC分類 210.5
  • Cコード C0321

内容説明

離島勤務から本国への帰途、薩摩藩士安田義方ら一行は遭難し、朝鮮に漂着する。安田は、朝鮮王朝の地方官僚らと漢文の筆談によって、現地での待遇と送還について折衝しながら、一方で、酒を酌み交わし、詩文を贈りあい、交流を深めていく。安田が遺した詳細な記録と巧みな挿図から、朝鮮通信使の儀礼的な通交とはまったく違った近世日朝交流のすがたが見えてくる。

目次

第1章 近世日本の朝鮮認識(日朝友好の枠組み;朝鮮漂流記を読む)
第2章 事件のはじまり(咆哮する唐山の海;執拗な事情聴取―文政二年七月三~七日;うちとける心―七月八~十二日)
第3章 船を棄てる(衝突と交流―七月十三~二十一日;別れじたく―七月二十二~二十六日)
第4章 帰途(一刻千秋の思い―七月二十六~八月十五日;釜山湾の日々―八月十六日~文政三年;余聞)
おわりに―安田義方「朝鮮漂流日記」から見えること

著者等紹介

池内敏[イケウチサトシ]
1958年愛媛県生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学大学院文学研究科博士後期課程中退。現在、名古屋大学大学院文学研究科教授。博士(文学)。専攻は日本近世史、近世日朝関係史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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小鈴

14
高校日本史での朝鮮通信士の交流しか知らなかったため鎖国のイメージが覆る。江戸時代の人間にとって通信士を二度見ることは稀なことであったが、江戸時代の朝鮮人漂流人数は9770人(朝鮮の日本人漂流人数1235人)、西日本が専らだが意外と朝鮮人と接する機会があった。1640年代から日朝間の漂流民無償送還制度が開始、それは秀吉の朝鮮侵略から約50年後のことである。漂流民の大半は民衆のため日記等記録は乏しい中、薩摩藩士による漂流記録から対馬藩の公的書類よりも詳細に朝鮮人官吏との交流が描かれる。2016/04/01

みなみ

10
アンリミで読了。江戸時代の日本と朝鮮半島の文化交流といえば朝鮮通信使があるのだが、この本の題材は漂流記。日本と朝鮮では相互に漂流民を保護して送り届けることになっていたようで、この本に登場する薩摩藩士の安田もまた朝鮮半島まで漂流したうちの一人である。仲間を異国で亡くしたり、言葉もわからないまま取り調べを受けたり、制約のある扱いのある中で筆談をたよりに文化交流をする場面があり、朝鮮の官僚の詠んだ詩を批評することもあった。通訳なのに言葉が伝わらないなんてことも。安田は絵がうまくて感心させられた。2024/10/09

みやざき しんいち(死ぬまでにあと1,000冊は読みたいんだ)

6
(68/1000)昔、朝鮮通信使を調べていた時期があった。朝鮮通信使は公的な交流であったが、一方で漂流し結果的に日韓の交流となってしまった事例があった。この本はそんな漂流者の日記を現代の日本語に訳して紹介してくれている。 朝鮮半島との歴史には、秀吉による侵略で関係がこじれた時期がある。その際に鹿児島まで渡ってきた朝鮮人たちがいま薩摩焼の技術を伝承してもいる。その鹿児島領だった永良部島から本土に帰る薩摩藩家中の船が遭難した。朝鮮半島南端に到達してから帰国するまでを日記調に綴ってった一冊。2018/10/20

まりも

1
鎖国をしていた江戸時代、日本と朝鮮の交流は、日本史の教科書にもでてくる朝鮮通信使という公式行事の他に、それぞれの土地に船で漂着した人たちの送還システムがあった。鳥取に漂着した朝鮮人も、朝鮮に漂着した薩摩藩士も、朝鮮との外交窓口であった対馬藩を通して故国に送る取り決め。対馬藩は釜山らへんに出先機関をもっていたそう。朝鮮に漂着した薩摩藩士含む25名の記録を代表者の安田が絵とともにつづった資料の紹介。朝鮮の役人と日本の武士は漢詩文と筆談で交流できたらしい。薩摩ことば独特だから通訳の人は大変だったろうな。2024/05/26

えぬ氏もわるよのぉ

1
文政2(1819)年、薩摩藩士3人を含む25人の乗った薩摩藩の船が遭難し朝鮮の庇仁県というところに漂着した。藩士の一人・安田義方は漢文が書けたので筆談で朝鮮の官吏と交渉した。彼は絵もなかなか巧く、日本に帰国したのち、絵入りの漂流記を記した。朝鮮の官僚は、弱冠一名を除いてみな親切で、難儀に遭った日本人にいろいろと便宜を図ってくれた。特に庇仁県の太守・尹永圭と安田との交流は読んでいて心温まるものがある。朝鮮の風俗も図解を含めて詳細に綴られていて貴重な史料だと思う。2018/11/05

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