感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
14
「服装の乱れは心の乱れ」なんて生活指導の先生のお説教に出てきそうだが、かつての中国ではより深刻な意味があった。性別や身分による厳密な秩序が存在し、それを形で示すことが求められる「礼」の国。だから異性装などはもってのほかで、陰陽の気を乱す犯罪行為と受け止められ、おかしな服装の者どもを指す「服妖」なる専門用語まであった。にも拘らず、中国史においては男装・女装や性転換にまつわる逸話が数知れずという超展開。中国文化を見る目が変わるし、単純に話としても面白い。2025/10/24
ポン・ザ・フラグメント
10
同性愛寄りの本かと思ったが、読んでみたらそうでもなかった。〈服妖〉と呼ばれる異性装者の出現を、たとえば政治の混乱の兆しとして捉える中国思想は、東洋医学でも馴染みの考え方だが、時間的隔たりをもって生じた複数の事象を、因果性ではなく、顕在化した秩序の乱れの関連性として見るものだ。そこには、シェルドレイクの形態形成場仮説や、シンクロニシティ、バタフライエフェクトのようなものとの類縁性もあるように思われ、面白かった。異性装についての本としては真面目すぎる感じ。まあ、読んでいるこっちの程度が低いということだが。2017/06/25
芍薬
8
男装、女装、奇妙な服装を妖怪と見る服妖の歴史。 中国史に疎い私でも楽しく読めました。 特に女装して金品を騙し取っていた男が「恥知らずもはなはだしいの罪」で市中引き回しになった事件には笑ってしまいました。2012/04/26
rinakko
7
中国における女装の歴史。まず、異性装を含むさまざまな異装を“服妖”と呼ぶ、その捉え方が独特ですこぶる面白い。陰陽転倒の諸相(生物学的性転換の記録)、同性愛文学と女装趣味についての章、女装者たちの事情も色々…という章等、エピソードの引用もたんもりで楽しめる。京劇などで女形に使われた纏足を表現する道具が、そのまま女装グッズだったとは驚きだが、しかも装着して歩くだけで拷問グッズになりそうな…(そこまでして女装)。図版を見るのも楽しかったし、足を見れば一目瞭然ということがよくわかった。(女装は人を惹きつけますね…2015/04/06
もち
4
10年以上前の本だからか、男性による本だからか分からないが、犯罪に対しての筆致があまりに軽いように思われてそこが不快だった。現代まで通じさせるなら、倫理的な配慮がより要ったのではないか。異性装に関する話が集められていて興味深くはあった。2020/07/17




