内容説明
イエスの筆頭弟子にして復活後の教会指導者ペテロ。迫害者から異邦人伝道者へと回心したパウロ。古代ローマ帝国の片隅ではじまった運動を世界宗教にまで伸展させた二人の実像は?そして、彼らのユダヤ人・異邦人への宣教戦略とは?二大伝道者の足跡を辿る一冊。
目次
序章 世界宗教への立役者
第1章 ペテロ―イエスの筆頭弟子から最初のキリスト教伝道者へ
第2章 パウロ―教会の迫害者からキリストの伝道者へ
第3章 ユダヤ人の伝道者ペテロの足跡
第4章 異邦人の伝道者パウロの活動
終章 伝道者ペテロとパウロ
著者等紹介
小河陽[オガワアキラ]
1944年岡山県生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。東京大学人文科学研究科修士課程修了。ストラスブール第二大学プロテスタント神学部博士課程修了。立教大学文学部教授。専攻は新約聖書学
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感想・レビュー
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中島直人
5
読了。あまり知らなかった、その後のペテロとパウロ。特にパウロの決定的な重要性が解き明かされる。2023/07/01
belier
4
ペテロについて期待したが新規で知ったことが少なく、資料が本当に少ないことを再確認。『クォ・ヴァディス』でも見た英雄的なペテロの人物像は、やはり聖書外典の『ペテロ行伝』の影響が大きかったのだろう。使徒行伝が英雄化の端緒というような指摘もあった。原始キリスト教では、史的な人物像だけでなく、後世に想像された人物像がどう作られたかという本もあれば読みたいと思う。2024/02/26
ジュンジュン
4
研究成果も盛り込みながら、入門書を心がけた(あとがき)ようだが、残念ながら後者に関しては達成できていない。少なくとも揺籃期の歴史の流れを押さえておかないとついていけないと思う。伝説化された両者だが、推論を交えながらも、けっこう足跡が追えることに感心。2018/08/19
まんぼう
3
とても面白かった。ペテロのイメージは人間の弱さと純粋さ、プラス愛されキャラ。召命に即応したペテロのエピソードは物語的脚色があるにせよ即応はすごいなと思っていたが、召命以前にヨハネの教えに感銘を受けていたから即応できたという部分に納得した。パウロのイメージは頑固一徹・猪突猛進。迫害者としての半生を罪として抱えた回心ではなく、律法による義から神による義への回心、キリスト以前以降のいわゆる新しい律法、新しい約束への前進。今も律法に固執してドンパチしている元同胞にちょっと一言言っていただきたいなあ。2025/04/09
午後
2
原始キリスト信仰を世界宗教へと発展させるための礎を築いた2人の使徒、ペテロとパウロの生涯の軌跡と、福音理解、神学思想を、安直に両者を対立させるのでなく、彼らの教会内の立場や歴史背景を考慮に入れながら、アンティオキアの事件を軸として描き出していく。2022/11/03