内容説明
皇帝の居住地として天の子午線に対応する軸線をもつ王都長安東西九・七キロ、南北八・六キロのグリッド・プランはどのような宇宙論に基づいているのか。唐代最大の世界都市の構造と繁栄の様相を探る。
目次
プロローグ 大雁塔からのながめ
第1章 ユーラシア大陸の三つの都(歴史は、人間と環境の関係史である;三都の物語―コンスタンチノーブル・バグダード・長安;中国の空間構成と王都の変遷)
第2章 長安は、宇宙の都として設計された(都市のデザイン;王都は正統性を主張する)
第3章 住民が、長安を生活の都に変えた(宇宙の都から生活の都へ;盛り場のにぎわい)
エピローグ 北京と長安
著者等紹介
妹尾達彦[セオタツヒコ]
1952年、広島県生まれ。立命館大学文学部卒業。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、中央大学文学部教授。専攻は中国都市史
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
9
『平安京はいらなかった』で問題となっていた都城プランと実態との乖離について、そしたら平安京のモデルとなった唐代の長安ではそのあたりどうだったのかということで読んでみた。『平安京~』とは違って、さすがに都市のダウンサイジングとか住民自身による破壊という話は出てこなかったが、理念的な「宇宙の都」から「生活の都」へと転換していくさまが第三章でまとめられており、面白く読んだ。2017/02/19
chang_ume
8
長安の「北闕型」宮城配置が、非漢族的な都城プランであることに驚く。道路に対して閉鎖的な都市区画「坊牆」とセットで、北闕型宮城を北魏王都(平城)に系譜を求める。隋唐を北朝「拓跋国家」に含める近年の理解と合わせて興味深い。果たして長安は、『周礼』と相違する非漢族的な要素をもつ異端の都なのか。そんな都を平城京・平安京はモデルとしたのか。そもそも大明宮の本格使用が中唐以降だったり、本書からの学びは多いです。大極宮から大明宮への移動に伴う「儀礼線」の変遷など参考に、宮城配置の問題を改めて考えてみたい。2020/07/19
パパ
3
第1章はユーラシア大陸の大河流域の農耕文化(北緯30度付近)と遊牧地帯(北緯40~50度)との間の衝突が歴史を決定したという環境決定論的な観点から中国史全体を俯瞰しており大変面白い。特に、中国の王都が、小中国(漢民族居住地のみ)の時は洛陽や南京に、大中国(マンチュリア、モンゴル、新疆、チベット含む)の時は長安や北京に移動するという観点は新鮮。大中国の王都たる唐長安は遊牧民族の都として造営された…が、面白かったのはここまで。後半は前半ほどワクワク感がなく終了。つづきは自分で研究したくなった。2011/12/08
四号戦車
0
誤植が多くね? P95の前近代の「首都」→「王都」でしょ?2019/04/13
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