内容説明
ヨーロッパ古代世界に最大の版図をもち、多年隆盛を誇ったローマ帝国はなぜ滅びたのか。この「消えることのない、永遠の問い」に対する不朽の解答―18世紀イギリスの歴史家E・ギボンの名筆になる大歴史書の完訳。ゴート族の王アラリックの登場とヴァンダル族のアフリカ征服、フン族の王アッティラによるガリア侵略と迎え撃つ将軍アエティウス、ヴァンダル族の王ガイセリックのローマ掠奪。そして、いよいよオドアケルによって最後の西ローマ皇帝が廃される。西ローマ帝国滅亡に到る衰亡史の圧巻。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アミアンの和約
20
西ローマ帝国の滅亡、およびその後の西欧世界の様相が描かれる。忙しい人は巻末の「西ローマ帝国滅亡の総括」だけでも読むと良い。2023/04/13
ロビン
19
5巻はゴート族アラリックやフン族のアッティラ、ヴァンダル族ガイセリック、メロヴィング朝を創始したフランク族クローヴィスなどによる帝国侵入・蹂躙と各々が帝国から切り取った領土の支配、その果ての、ゲルマン人傭兵隊長オドアケルによる西ローマ帝国の滅亡に加え彼ら「蛮族」たちの風俗や信仰などが描かれる。サクソン族によるブリタニア支配とアーサー王伝説、ノルマン・コンクエストにもさらっと言及される。「蛮族」にも深く浸透するキリスト教会の更なる展開と腐敗、異教への迫害の様子も描写され、いよいよ中世に入ったなという感じだ。2023/09/05
うた
9
P.G.ウッドハウスのジーヴスもので、とある勇猛なご婦人がジーヴスを「アッティラ!」と呼んで褒めていたが、本巻で猛威をふるうフン族の王が元なわけね。様々な皇帝や人物たちを上げては下ろすギボン節だけれど、バルバロイであっても威厳ある人物はちゃんと描写している。アッティラ以降はやや筆勢は抑えめ。しかし、まあ、皇帝たちが現れては消えていく様は充分面白いのだが。2017/08/06
ふぁきべ
8
箇条書き風に進んでいくが、文章の前後関係もわかりにくいし、時代背景的にもいろんなことが起こるのにひたすらわかりにくい表現でぶつ切りに描かれるものだから非常に読みにくい。キリスト教関係の章に関しては拷問にも感じられた。一巻や二巻はここまで読みにくくなかったので、翻訳のせいか時代的にギボンの筆が鈍っていたのかはわからない。他にも書いている人がいたが、最後のまとめだけ読めば十分。2023/06/25
富士さん
7
塩野さんとものと合わせて再読。何度読んでも人物と出来事の関係がすんなり頭に入りません。著者の書き方ももちろんありますが、この時代のヨーロッパ史は指折りにおもしろくない時代なのでしょう。ローマがなぜ滅んだかよりも、ローマがなぜこんなに続いたのかが重要だという割には、自時代中心主義的な歴史裁きが根底にあるように感じるのは、進歩への素朴な信頼が高まる時代精神の発露なのかもしれません。イギリス史はともかく、フランク王国で本書を占めるあたりも、歴史を枠づける歴史執筆者の世界観の影響を表すものだと思います。2018/12/25