内容説明
心臓弁が6950ドル、アキレス腱は2500ドル。提供された人体組織を加工して急成長するアメリカ産業。刑務所や病院を舞台にしたフィリピン、インドの腎臓売買。いまや臓器が「商品」となり、脳死体は「医療資源」と化す。テクノロジーと資本主義の行き着く果てを見つめ、倫理を問う。
目次
第1部 人体利用・商品化の現実(クライオライフ社訪問記;医療資源・商品としての人体;囚人の臓器を買う神父―フィリピン臓器売買事情;募金で臓器を買う少年―インド臓器売買事情)
中間考察(人体利用・商品化の歴史と近未来)
第2部 人体利用・商品化の意味論(人体を資源・商品としてよいのか;臓器売買はなぜ悪い)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
4fdo4
12
少し前の本の為、現在は事情も大きく変わっているだろう。ドナー、ブローカー、病院のそれぞれが主体となる移植の形態。フィリピンの刑務所で行われる移植やインドでの貧困層で行われる腎臓売買。「おそらくそうだろうな」とは思っていたが、ルポルタージュとして読むと背景の暗さに人の命を救う正しい行いなのか、それとも人として正しくない行為なのか分からなくなる。著者が後半に書いている「売る権利」や「ドナーからの搾取」は深い。カニバリズムに近い心理的嫌悪と表現しているのに納得2024/02/29
MTK
0
兄が著者について良く話していたので読んでみたところ、前半部はとても面白いものだった。臓器移植のビジネスとしての側面、貧困国での臓器売買のルポといった趣でとても興味深い。 後半は生命倫理とかそういった部分からの考察で退屈する。最後に補論としてカニバリズムについての考察がされている。人体を色んな側面から見てみるというもので、眠れない一族という本と併せて読むと面白いかもしれない。2013/07/14
びーちゃん
0
評価32010/10/04
りっちゃん
0
筆者がフィリピンとインドで行った調査に基づく事例が書かれていて、興味深かった。臓器売買のシステムから、社会的背景、具体的事例、倫理的問題など、丁寧に説明している。2019/02/27