ブルーバックス<br> 新幹線50年の技術史―高速鉄道の歩みと未来

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新幹線50年の技術史―高速鉄道の歩みと未来

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  • サイズ 新書判/ページ数 231p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062578639
  • NDC分類 516.7
  • Cコード C0265

出版社内容情報

2014年は東海道新幹線開業から50年。日本初の高速鉄道技術はどう変化し、進歩し、停滞したのか。鉄道技術の碩学による渾身作。1964年に世界初の高速鉄道として日本に誕生した新幹線は、2014年で50年を迎えた。新幹線の技術的ルーツが初めて世間に向けて発表されたのは「超特急列車 東京?大阪3時間への可能性」という1957年に開かれた講演会のことである。そこを起点とすれば57年になる。
当時、急速に劣化が進んでいた日本国有鉄道という組織の中で、新幹線は営業面でも技術面でも唯一の明るい部門であった。国鉄末期には停滞した時期もあったが、1987年に国鉄の分割・民営化が断行されて、新生JRによって再び活気を取り戻した。
極東の小国が自力で世界一の高速鉄道を造り、営業的にも大成功を収めたことに、鉄道先進国を自負していたヨーロッパ諸国は急追の動きを見せた。1981年にはフランスが新幹線を参考にして、また他山の石としてTGVというシステムを作り上げ,明確に世界一の座に就いた。
さらにその後、鉄道技術では後進国とのイメージが強かったスペインや中国によって、世界の高速鉄道の地図は大きく塗り替えられた。そのかげで、元祖新幹線には時代遅れや色あせたイメージさえつきまとうようになってきた。
一方で、災害大国でもある日本で、新幹線は奇跡ともいえるような安全実績を更新中であり、なお日本の新幹線には世界に貢献できる優れた技術も少なくない。日本の優れた技術と諸外国に見られる積極的な発想とを組み合わせれば、国の内外で鉄道の社会的役割が一層高められるであろう。
このように、新幹線が歩んできた50年の歴史を技術の視点で振り返りながら、リニア中央新幹線の建設も見据えて将来像を考えていく。新幹線ともに鉄道技術人生を歩んできた筆者による渾身作。

まえがき
第1章 高速鉄道の元祖
(1)新幹線構想の誕生
(2)新幹線の源流
(3)敗戦国が造る世界最高速度の鉄道
第2章 新幹線の建設と開業
(1)国鉄0系の誕生
(2)新幹線の開業
(3)自由席導入の誤算から線路の造り直しへ
(4)新幹線の延伸と本格的食堂車
(5)技術の停滞・夜行列車の断念
(6)ヨーロッパにも高速鉄道が
(7)分割・民営化直前の復活への動き
第3章 JR発足と速度記録への挑戦
(1)高速試験車両で400km/hへ
(2)新幹線電車の変遷
(3)100系に見るJR各社間技術の違い
(4)環境特性と対応技術
第4章 列車ダイヤとサービスの変遷
(1)輸送力の調整とダイヤ
(2)硬直化するサービス
第5章 リニア中央新幹線の建設
(1)動き出したリニア新幹線
(2)鉄輪力かリニアかの選択
(3)システム上の問題点
(4)工期短縮/大阪同時開業の可能性
第6章 世界的に見た新幹線の技術
(1)世界に誇れる安全実績
(2)後発国の躍進と元祖の停滞
(3)中国は日本?何を学んだか
(4)スペインが先んじる直通化技術
(5)日本にできる世界貢献
第7章 新幹線の近未来像
(1)整備新幹線の課題
(2)本当の競争力を考える


曽根 悟[ソネ サトル]
著・文・その他

内容説明

1964年に誕生した新幹線は、大量の高速輸送を安定に実現するために、重量オーバー対策での線路の作り直し、ダイヤの改訂など、さまざま試行錯誤を繰り返してきた。開発された技術が海外に大きな影響を及ぼした一方で夜行列車や貨物新幹線など、実現しなかった構想もある。本書では、新幹線50年の歩みを技術中心に振り返り、整備新幹線やリニアなどの将来像を展望する。新幹線と人生を共にした筆者による渾身作。

目次

第1章 高速鉄道の元祖
第2章 新幹線の建設と開業
第3章 JR発足と速度記録への挑戦
第4章 列車ダイヤとサービスの変遷
第5章 リニア中央新幹線の建設
第6章 世界的に見た新幹線の技術
第7章 新幹線の近未来像

著者等紹介

曽根悟[ソネサトル]
東京大学名誉教授。1939年東京都生まれ、1962年東京大学工学部電気工学科卒、東京大学助教授、東京大学教授、工学院大学教授を経て、現在、同大学特任教授、同大学の鉄道講座を主宰。2005年から8年間、JR西日本の社外取締役を務める。内外の鉄道雑誌への寄稿多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

WATA

34
「新幹線50年の技術史」というタイトルのわりには、技術の歴史に関する記述が少なくて残念。高速鉄道の歴史について書かれているのは前半だけ。後半は新幹線とリニアの問題点を指摘する内容になっている。また前半の内容も、海外の高速車両の紹介や、新幹線の運用面の話題(ダイヤ編成の話や国鉄ストの話)が混じっており、純粋な「新幹線の技術史」の内容はさらに少なく、全体の1/4ぐらいしかない。個人的には少し期待はずれだった1冊。2014/06/04

calaf

18
新幹線の安全神話は幸運に助けられたものという話は聞いた事がありますが、それ以外にもいろいろな問題点が山積の状態なのですねぇ...日本の新幹線は世界に誇れる高速鉄道というのは確かではあるものの、あくまで一面から見た評価に過ぎないようです。パッケージ売りなんて相手国も自国(日本)も損をする状態なのだなぁというのが良くわかります。2014/08/12

C-biscuit

10
新幹線の歴史を技術の変遷で振り返る本である。個人的には、細かな技術ではなく、インフラのような大きな視点で書かれているように感じた。特に、在来線への接続ニーズや車内サービスなどにも切り込む内容は特徴的である。興味深かったのは諸外国との比較である。新幹線やリニアを輸出しようとしている日本において、優位性や不利になる部分なども感じることができた。特にフランスTGVとの速度競争が思い出された。0系から順に車両の紹介もあるが、少ないのが、少し残念な部分でもある。特に500系もたったの1ページなのが寂しい。そんな本。2015/05/12

牧神の午後

9
技術には科学技術だけではなく運用技術も含まれてます。また単なる歴史だけではなく、現在の技術面での評価や今後の改善に向けた取組み、海外への技術輸出の可能性などにも触れていて、かなり盛り沢山。後書きから読む派の著者らしく、後書きに興味を引くエッセンスをちりばめているのが流石(笑)。個人的な白眉は、パッケージ輸出に対する「輸入側のニーズを見ていない」という指摘。変に囲い込みをしようとしても、ユーザニーズと合致していなければ採用されない、というのはITサービスと共通のメンタリティを感じました。2014/08/01

Hyos(元jpn1024)

7
まだ自分が生まれていない頃に民営化に至った国鉄. その根本的原因はパンタグラフや電車線を管轄する部局が異なり,そのために全体的な電車の特性を充実させることができなかったためである(タテワリ組織の弊害)ということを確認した. 新幹線の集電装置による騒音問題について: 民鉄の列車の中にはほとんど無音のものがあるが,これは摺板がカーボン製であるためとのこと. これを新幹線に適用しようという研究もあるが,脆さや摩耗の激しさがネックとなっているようだ. また時間を設けて再読したい.2018/04/09

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