内容説明
現代思想が難解なのは、現代に生きる私たちの直面するもんだいに直接かかわりがあるからだ。それは、絶対的な価値基準がない「相対主義」のもんだいである。本書では、ニーチェ、フロイト、ハイデガー、ソシュール、サルトル、ドゥルーズ=ガタリ、フーコーら、12人の現代思想のトップスターたちの紹介を通じて、現代思想とその流れを、私たちのもんだいと照らし合わせながら、だれにでもわかりやすく解説する。
目次
第1部 水源篇―真理なき時代の哲学(ニーチェ―「哲学=真理」の破壊者;フロイト―無意識は何を語るか;ソシュール―言語と差異の体系;ハイデガー―「私」は世界のなかにいる ほか)
第2部 展開篇―相対主義を超えて(デリダ―真理の批判と脱構築;ドゥルーズ=ガタリ―自由な欲望の空間へ;ロラン・バルトとボードリヤール―記号論による社会分析;フーコー―近代的な知と主体の変換 ほか)
著者等紹介
小阪修平[コサカシュウヘイ]
1947年、岡山県に生まれ、福岡県で育つ。東京大学中退。1979年から執筆活動をはじめ、哲学・思想を中心に幅広く評論活動を展開している。ことに難解に陥りがちな哲学を、水準を落とさずに、平易に解説することでは定評があり、哲学ブームのきっかけをつくった
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感想・レビュー
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ころこ
38
購入してから調べると、以前読んだ本の文庫化のようです。少し読んでみると内容は平易でざっくりしているものの、要所で見逃せない記述があり再読しました。現代思想を初めて読む人にもお薦めですし、既知のことも上手く言語化されることで理解が深まる思わぬ一文に出会えるかも知れません。第Ⅱ部の配置をみると、5人全てがフランス語圏の思想家で、フランス現代思想がゴールにあり、第Ⅰ部でその源流を探るとドイツ語圏がいるという構成になっているのが分かります。両者をモダンとポスト・モダンに分けないのは、度々重要な個所で言及されるサル2021/09/26
たばかる
23
題のわりに教科書的な内容で書かれてはいない。頑張って簡単に言おうとしているんだけれども、具体例や比喩をうまく使いこなせていない。もっともそれだけ簡単に説明できない、したくないといった意味も込められているのかもしれないが。/ボードリヤールやサルトルが全共闘とか五月革命に関わっていたといった実践的側面を筆者が重要視している故、その辺の周辺情勢もかいつまんで語られているのは、それはそれで興味が持てた。2020/02/27
nobody
16
眠い。だからエレベーターだのチョークだの卑近な例を頻りにもち出す。無能な教授のやりそうなことだ。で、その譬えがさっぱりピンとこない。おかしな人が訳の判らないことを延々と話し続け時折筋の通ることが交じるに近い。話を要領よくできない人というのがいる。小阪は難解事を日常語に引き下ろせないのではなく日常事すら日常語でまとめきれないのだ。それはローレンツのくだりを読めば判る。ハイデガーは存在の意味を考えたと。で、存在の意味を考えるとはどういうことかと繋がっていかない。それで話は進んでいく。で、我々は他者に「いやあ、2019/07/17
白義
16
ざっくりとした見取り図、極限まで砕いて漢字もひらいたわかりやすい文章、ことわかりやすさという点では数ある現代思想入門書の中でもトップクラス。デカルト、ヘーゲル的な近代哲学、客観性の世界からニーチェを起点に相対主義の時代へ、という流れもあまりにも単純というのは容易いがそれだけに取っ掛かりとしては便利なイメージを与えてくれる。全体的にフーコーの影響が強くてフーコーの章は比較的丁寧だが、その他の現代思想家の個別の解説が軒並みざっくばらんすぎるのは仕方ないだろう。相対主義からその先へという問題意識もやや散漫な感じ2017/01/09
masabi
16
哲学はヘーゲルによって終了したとしてそれ以後は哲学がないとする。現代思想の水源をニーチェ、フロイト、ソシュールに求める。その3人からハイデガーやらフーコーまでどのような思想なのかを検討する。筆者の時代経験を踏まえなぜその思想が日本で流行ったのかまで述べられている。ニーチェとフーコーについてもっと著作を読んでみたいと思った。2014/12/14
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