内容説明
安岡正篤は無位無官の哲人だが、牧野伸顕に学識を見込まれ、第二次世界大戦以降は吉田茂、池田勇人、佐藤栄作、田中角栄、福田赳夫、大平正芳、中曽根康弘ら日本の歴代総理の指導者として政治の節々に登場し、次代を担う官僚、財界人の教育に努めてきた。その教えは数多くの著作に残されている。本書はそれらをもとに、安岡の教えた東洋思想と帝王学の真髄を平易に解説した。
目次
第1章 運命を拓く
第2章 人物をつくる
第3章 知命と立命
第4章 読書と尚友
第5章 人生の知恵
第6章 理想と志
第7章 教育と敬
第8章 利益と道義
第9章 健康法
著者等紹介
神渡良平[カミワタリリョウヘイ]
1948年、鹿児島県に生まれる。九州大学医学部を中退後、新聞記者や雑誌記者などの職業を経て作家に。38歳のとき脳梗塞で右半身不随になるが、リハビリによって社会復帰を果たす
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感想・レビュー
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しょーた
40
心の琴線に触れるものが多すぎて、赤線ばかりとなった。佳書(かしょ)の項目が特に印象的。佳書とは、『それを読むことによって、われわれの呼吸・血液・体液を清くし、精神の鼓動を高めたり落ち着かせたり、霊魂を神仏に近づけたりする書』のこと。まさに本書は佳書である。手元に置いてまめに読み返したい。また、自分の徳を高める道徳的な本を更に読もうと思う。「宗名臣言行録」「言志四録」「修身教授録」「四書五経」etc...今回の読書で改善しようと思ったことは、早起き(目標4時半起き)&ただ一つのことにひたすら集中すること。2015/02/18
mari
15
神渡良平さんの安岡先生の基本の書(?)今の日本人が忘れていることをビシバシと気付かされます。出来ればこの時代に再び生まれ変わっていただいて、未来を担う日本のリーダーたちに知恵を授けて欲しい。2015/06/10
takam
8
昭和における東洋思想の権威的な存在だと思う。そして、彼が施した帝王学は廣田弘毅や田中角栄、そして民間からも支持を受けた。知識、見識、胆識という言葉を定着させたのも安岡先生である。本書は先生の本の解説本、導入本といったところで、先生の本からの引用と解説から構成される。解説では当時の有力者のエピソードが交えられていて面白い。話題も組織から個人の健康まで幅広い。西洋思想は社会を捉えるためには良いが、個人レベルでの啓発は東洋思想の方が理があるように思える。2019/09/25
きんちゃん
5
最近、この年になって、人間いかに生きるべきかというようなことを改めて考えるようになった。東洋の英知からは学ぶべきものが多いと感じる。読むだけでなく自身の血肉としていきたい。2014/07/15
こすもす
3
今の日本人(私もそうですが)が忘れがちな,人間の根っこの部分について書かれている本。「仰ぎみることを知らない人間,恥じることをわきまえない人間がいちばん非人間的である」など,はっとさせられます。手元に置いて,時折見直したい本だと思いました。2010/02/16