内容説明
相手のこころが知りたい。自分のこころがわからない。「こころ」の森に踏み込み、格闘しつづけたユングの「分析心理学」は、難解なことで知られている。五カ国語に通じ、医学から神話、錬金術、東洋哲学などの広く深い知識と特異な個性で無意識の世界を追究したユングの、生涯と思想をマンガでコンパクトに知る一冊。
目次
第1章 かくされた心理の発見
第2章 夢と無意識をどうとらえるか
第3章 無意識は共有されているのか
第4章 論理的な考え方・非論理的な考え方
第5章 自分らしく生きるための夢判断
第6章 意識と無意識の結合
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
morinokazedayori
48
★★★★★フロイトの弟子であったが考え方の違いから袂を分かち、独自の理論を打ち立てていったユング。共時性、東洋思想からの影響、無意識、夢判断など、ユングが取り入れた理論や手法について、また、どのような状況下で取り入れるに至ったのかその過程という、ユングの生涯と深層心理学との関わりがよく分かった。劇画調の画風も、ユングや深層心理学の持つ深みや陰の部分とよく調和し、独特の味わいを醸し出している。2016/09/17
井月 奎(いづき けい)
34
ユングの言う集団無意識にとても興味を持っています。私は命や美はこの世と少し隔てたところに集まり、そこからこぼれ落ちてこちらの世に来ているのが個だと思っています。それは集団無意識とかなり似た世界だと思うのです。生きとし生けるものはこの世にいる意味があるはずで、そしてその意味を知り命の資質を活かしきり、去ったときに「命と美の集まり」、ユングの言う「集団無意識」に交じり大きなエナジーとなるのではないでしょうか。自分の命はいつか集団の命と美に帰るべきものであるのです。自分の命は自分一人のものではないのです。2017/03/19
兵士O
20
この漫画を描いた石田さん、凄いですね。某中古書店で百十円で買いましたが、読み終えてめっちゃお得感があります。ユングの生涯を漫画化して、その心理学の触りを説明していますが、少年期にユングが夢で見たという地下の男根のイメージや、心象スケッチが曼荼羅と同一だと気付く過程など、活字では説明しづらい事象を見事映像化しています。ユングってある意味では幸せですよね。奥さん以外でもトニーという秘書(愛人?)も研究を彼以上に理解していて、良き右腕だし、何よりも自分の思想を創造的に深めていったし、羨ましいです。イイ本ですよ。2021/08/22
ひろ☆
15
ユングってどんな人?が簡単にわかる。2013/12/15
あこ
11
ユングの一生涯がわかる。フロイトとユングの決定的な違いは、「フロイトが無意識を、人を抑圧するもののうごめく暗黒としたのに対し、ユングは無意識を、光のさしこむ大きな統一ある世界としたことにある。」と著者は述べている。『患者の症状は、その人が本当の自分になるための、一つの過程としてあらわれる』とするユングの考え方から、それを感じることができた気がする。2014/01/10