鉄塔おじさん

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鉄塔おじさん

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  • サイズ B6判/ページ数 256p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062209496
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

おじさんが作っている鉄塔は何だろう――彼女が現実から逃げた先は、美味しい食事がでてくる屋敷だった。黒木渚、書き下ろし初長篇!神崎あたりは田舎の役場の生活相談課で働いている。毎日毎日、クレームをつけにくる町営団地の住人の対応に追われる日々。そんなあたりを、目の敵にする教育係の杉田さんには毎日、役場のテラスに呼び出されて暴言を吐き散らかされる。あたりに好意を寄せる同じ職場の三浦からのアプローチを受け、このまま付き合うのかと思っていた矢先、食堂で話すあたりと三浦の姿を見つけた杉田から信じられない告白をうけ、あたりは何もかもがうまくいかないと混乱し、休職願いを出す。
そしてあたりが逃げ込んだ先が、生活安全課の時に知ったある不思議な人物の家だった……。その人物は、町の大地主で、所構わず謎の物体を置き、住民からも苦情が相次ぐ人物だった。

あたりはおじさんと共同生活を続けることにより、徐々に自分を取り戻していく。そして、いつのまにかおじさんのことがとても気になる存在となっていることに気づく。

第一章
第二章
第三章
第四章
第五章
第六章
第七章
第八章
第九章
第十章
第十一章
第十二章


黒木 渚[クロキ ナギサ]
著・文・その他

内容説明

神崎あたり。おめでたい名前だが、現実のあたりの人生は混沌としていて、ハズレ感で満ちあふれている。勤め先の役場では、町の住民からのクレームと、お局からの嫌がらせの嵐。何かを変えたくて、好意を寄せてくれた先輩と一夜を過ごしてもみた。でも状況は悪くなるばかり。もうだめだ―そう思った彼女の前に現れたのは、得体の知れない物体を作り続ける松本という名前のおじさんだった。行き場のなくなったあたりは、おじさんの家に転がり込み、奇妙な共同生活が始まる。

著者等紹介

黒木渚[クロキナギサ]
宮崎県出身。大学時代に作詞作曲を始め、ライブ活動を開始。また、文学の研究にも没頭し、大学院まで進む。2012年、「あたしの心臓あげる」でデビュー。2014年、ソロ活動を開始。2017年、『自由律』限定盤Aの付録として書き下ろされた小説「壁の鹿」を初の単行本『本性』と同時に刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

野のこ

44
仕事の先輩からの過剰ないじめやご近所で有名な一風変わったおじさんとの同居はちょっとあり得ないくらい奇妙なのに物語の出来事はもしかしたら少しは黒木さんの体験した事?と思うくらい 主人公の心模様が伝わってきました。あたちゃんの最後まで地に足ついてないふわふわした暮らしと言動は残念。だけどその後が気になりました。2018/04/02

ケー

28
あたり、松本、聖子ちゃん、登場人物全員、見事に共感できない。黒木渚節というか、クセの強い作品。最初は平穏に始まり、ファンタジックでポップな世界に入り込んだと思いきや、中盤から徐々に狂気が顔を出し始め、サブキャラクターはともかく、主人公さえもその波に飲まれてしまう。そしてそれを覆すことなく、不気味な印象のまま、すっきりせずに終わりを迎えてしまう。あたりには身勝手な印象を感じるし、今作の終わり方も個人的には結構えげつない。でも、そんな穏やかでない文章を書ける人は今は少ない。だから黒木渚の文章が好きなのだ。2018/05/20

Natsuko

25
黒木さん「呼吸する町」に次いで二冊目。役所勤めの主人公あたりは、言いたいことも言えずお局にひどくいびられるも「すいません」のフレーズを冷静にカウントし5桁に上ったとほくそ笑むような不気味な女子。住民からの通報で出向いたガラクタばかりの豪邸で出会ったおじさん。ありそうでなさそうなストーリー、実在しそうでいたら近寄れないおじさんとの出会いの場面が最高✨キャラにも惹かれぐんぐん読み進めた。後半「えー💦」と力が抜ける場面もあったが、面白かった✨とパタンと本を閉じた。主題は謎だが…2021/05/01

rosetta

16
★★★★★CDデビューもしているという作者の初の書き下ろし長編という事で余技の様な適当な小説なんだろうと思って薄目で読み始めたら結構気に入ってしまった。役所の窓口に勤めるアタリはお局のイビリやモンスタークレイマーの市民に心を削られ世間と上手く折り合えないでいる。苦情を受けて出掛けた変人と噂の大地主のおじさんは実は繊細な芸術家で独特な哲学者でアタリと同じ心を持っていた。庭に巨大な鉄塔を建て世間に幸せを感じる電波を飛ばそうとしている。孤独な魂が出会い、そしてそのままではいられないと歩き出す。2018/07/10

如月小町

13
初読みの作家さん。図書館の「この本、見逃していませんか」コーナーからチョイス。広大な敷地と多額の遺産を持つ変人のおじさんと、自分や周りに対して違和感を持つ市役所職員のあたりの10か月の物語。私が今までに読んだことがない設定で、文の流れも良くて読まされた。不安定さと安定のバランスが良いと思う。当たりはずれで言えば、あたり。2018/08/05

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