闘うもやし―食のグローバリズムに敢然と立ち向かうある生産者の奮闘記

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闘うもやし―食のグローバリズムに敢然と立ち向かうある生産者の奮闘記

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  • サイズ B6判/ページ数 259p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062202053
  • NDC分類 616.7
  • Cコード C0036

出版社内容情報

「食のグローバリズム」に「当たり前の仕事」で立ち向かうある“もやし屋”の奮闘記。経済的豊かさより大事なものがある!スーパーや大手食品メーカーの台頭で、地元の小さな食品業者が廃業を余儀なくされる。グローバル経済という津波は、小さな地方都市・埼玉県深谷市をも飲み込んでいます。
 深谷市で親子2代、50年にわたってもやし栽培業を営む飯塚商店の飯塚親子は、大手スーパーから「いまどきの大量生産もやしをつくるか、従来のもやしづくりにこだわるか」と迫られ、後者を選んだため、あっさり取引を打ち切られました。
 この仕打ちに息子の雅俊さんは、経済的打撃以上の疑問を感じます。大量生産のもやしは、見栄えと食感を優先したために「本来の味を失った」もやし。一方、飯塚親子がこだわり続けるのは、「見栄えはよくないけど、きちんともやし本来の味がする昔ながらの」もやし。資本の論理の前に「当たり前のきちんとしたもの」が屈服するのか? 
 それから数年後、病に倒れた父親の跡を継ぎ、いよいよ雅俊さんが「もやし屋」の主となったとき、最初に彼が発見したのは、1億を超える借金でした。
 スーパーの要求どおり、本来の味を失ったもやしをつくる道もありました。しかし飯塚さんは、昔ながらのもやしで闘う道を選びます。奥さんも娘たちもその選択に賛同します。
 家族一丸の闘いは今も続いています。彼は言います、「お金持ちになるのが勝利とは思っていません。当たり前のことをやって、家族が普通に食べていけるかどうか。安全で普通においしいもやしをつくって生活をしていけるかどうか。その闘いです。いまの日本は、当たり前のことをやっている人が、食べていけない、家庭生活ができないような社会にどんどんなっているような気がして…」
 「もやし屋」飯塚雅俊52歳がいまなお継続する奮闘の軌跡を、生まれついてのユーモアとともに自らのペンで綴ります。

第1章 失墜……ディズニーランドに行く朝に/見逃してしまった黒船/闘わぬもやし屋/コラム【もやし基礎知識】
第2章 創業期……インパール帰りの父/深谷のもやし屋誕生/もやしが珍しかったあのころ
第3章 どん底……失墜の波状攻撃/地元から消えた深谷のもやし/失意と混乱の社長就任劇
第4章 続・創業期……正解だったもやし生産業/あまりに突然、悲しみが襲う/これがもやし屋の仕事です
第5章 怒り……約束手形の期日が目前に/声を大にして銀行にモノ申す/サラダより焼き肉だ! と叫ぶ妻/泣きっ面にハチの18円もやし/父の涙
第6章 隆盛期……「もやしこうば」で遊ぶ少年/学校を休みまくるもやし少年/父のエピソード[軍隊式ビンタ炸裂][超ジビエ主義者][食に敬意を][夕陽と父と自転車と][ビルマ人のコソー]
第7章 瀬戸際……まぼろしのもやしに出逢う/ホルモン焼きという幸福/偽装離婚をマジに考える/野菜ソムリエにヒントを得る
第8章 爛熟期……ダラダラの十代を過ごす俺/バイヤーの奴隷になった俺
第9章 逆襲……消費者と話すもやし屋/見えてきた! 見えてきた!/深谷を襲うグローバリズム/グローバリズムの恐ろしい手口/ホームページを速攻立ち上げ
第10章 和解……もやしの絵本が光をもたらす/父が笑う/手強い敵と新たな借金
第11章 光……熊谷で在来大豆を発見/恐ろしい日本の「種」事情/広めよ! 埼玉県在来大豆
第12章 飛翔……もやしカフェin渋谷/オセロのコマを裏返すように/テレビが飯塚商店にやってきた
第13章 共感……夢なかるべからず/深谷市役所の熱すぎる若武者/産学官連携プロジェクト「ゆめ☆たまご」発進/父が逝く
第14章 ほんとう……東日本大震災が魂をゆさぶる/ありのままのもやし栽培キット/「ほんとう」を問いつめる!
第15章 一進一退……科学的に証明された栄養素/奇跡のもやし料理/母よ眠れ
第16章 幸福……ふさげるな![9円もやし]/「深谷もやし」がデパートに/落ちた生活レベルを楽しむ/食べ物を棄てないでください!/生活レベルが落ちるのは怖くない


飯塚 雅俊[イイヅカ マサトシ]
著・文・その他

内容説明

「まっとうな食」、「まっとうな仕事」は敗れ去るのか!?「利益」と「競争」の奴隷と化す日本人の生き方を問う!

目次

失墜
創業期
どん底
続・創業期
怒り
隆盛期
瀬戸際
爛熟期
逆襲
和解

飛翔
共感
ほんとう
一進一退
幸福

著者等紹介

飯塚雅俊[イイズカマサトシ]
1963年埼玉県深谷市生まれ。地元の高校を卒業後、家業であるもやし栽培業の有限会社飯塚商店に入社。2002年より。代表取締役社長。深谷市産学官連携プロジェクト「ゆめ☆たまご」のメンバー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

78
著者はもやし屋さん。父親が起こした店を継いだ二代目。ある日スーパーから取引を中止される。そこから二代目の奮闘が始まる。子供の頃に見た両親の仕事に打ち込む姿や自分の体験談と一緒に語られる。もやしというのは昭和30~40年代に多く流通を始めた割りと新しい野菜であること、背景にはインスタントラーメンの普及があることも知った。なにより普段食べているもやしと著者が作っているもやしは別物であるということ。スーパーやドラッグストアに売られているもやしは情けない値段。食べ物を客寄せパンダにするなとも書かれていた。同感2017/10/24

けんとまん1007

44
熱い思いの溢れる1冊。改めて、もやしを考えてみた。書かれているとおり、気が付くと、太くて白くて根っ子もなくて・・になっていた。他の野菜と同じで、味が薄いだけでのものに。本来の味・風味がなくなってしまっている。それに、慣らされてしまっている。それに対して、自分から新たな取組をすることで、活路を見いだしていく。生産者だけなく、消費者、流通にかかわる人・・・いろいろな視点で考えること。まっとうとは何か、ここに尽きる。2021/08/14

リョウ万代ホーム施主|貯金おじさん

35
安ければ安いほど良いと思いがちですが、其れを追及し過ぎると、こういう昔ながらの伝統とか良さが失われるんだなと痛感。もやしについて勉強になりました。たまには昔ながらのもやしを買ってみよう。2017/06/02

あじ

34
【もやし】とはスプラウトと同意の総称名だったんですね。だからどの豆のもやしを“ほんもの”と断定するのか、その点がまず疑問でした。飯塚さん一家は『ブラックマッペ』に拘っていますが(当時主流だったらしい)、もやしにだって種類があって当たり前だと思うのです。現在の定番『緑豆太もやし』を選んだのは紛れもない消費者です。価格で選ぶにしても、味や食感の好みにしても継続して買ってきたから主流になり得た。販売者と消費者の無理解は、生産者側からの食育がなかったからではないか。その活動をようやく今になって始めたようですが…。2017/02/18

MOKIZAN

25
私事ですが、拙宅で日頃買っているのは一袋17円、理由は言わずもがな(気になって覗いたS城石Iは68円だった)。もう一つ悪態を許してもらえるのなら、モヤシ単品に「美味!」を求めたことは恐らく無い。それゆえ同い年の著者の想いの語りに、まさに汗顔の至りだった。が、いい品だけに相応に味わうのは難しいだろうな。読みながら思ってた「もやしと豆腐とホヤに旅させちゃいけないんだろう」と、抱えた水から悪くなってくもんだ。そういえば低学年の頃までもやしは、写真のように八百屋で桶からザルで水切りしたものを買っていたっけ。2016/12/16

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