驚きの皮膚

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驚きの皮膚

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  • サイズ B6判/ページ数 242p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062196130
  • NDC分類 491.369
  • Cコード C0095

出版社内容情報

視覚、聴覚があり、あるいは学習し予知する力もあるという驚くべき皮膚感覚!知的にしてスリリング!ページをめくる指先の快感!120万年前、体毛を失って身体中の皮膚をさらしてから、人間の脳は大きくなりました。著者は、人間の言語の獲得にも皮膚感覚が関与していたと考えています。そして、人間の皮膚感覚にはふだん私たちが知らない驚きの能力がたくさんあります。皮膚は「見ている」「聴いている」「味わっている」「考えている」「予知する」……。本書ではそれらを国内外のさまざまな興味深い実験とともに紹介します。一例を挙げればこんな実験。一人の被験者にABCD四つの山に伏せられたカードを引かせます。カードには、いくらもらえる、いくら支払う、という指示が書かれています。100枚引いたところでゲームは終了しますが、多くの被験者は80枚くらいの段階で、どの山のカードが支払いリスクが高いか気づきます。ところが、同時に皮膚の電気変化を調べると50枚くらいでリスクの高い山のカードを引くときに「無意識」の電気変化が現れるのです。つまり、皮膚は脳より先にリスクを「予知している」ことになります。
本書は、そうした文字通り「驚きの皮膚」感覚を検証するだけでなく、その皮膚感覚のおかげで大きくなった脳が「意識」を司り、文明を創り、さまざまな社会システムを生み出し、今、その社会システムゆえに、時に個人の自由が奪われたり、あるいは生命が脅かされている現状に警鐘を鳴らします。
やがて著者の筆は、システムが複雑巨大化する中で、美術、音楽、文学など、芸術の世界で、皮膚感覚という原初の本能への回帰が、人間一人一人の生きる意味を問うていることにまで伸びていきます。
ゴッホ、マーラー、村上春樹をはじめ、多くの実例を引いた著者のロマンチシズム溢れる文章は、単なる科学読み物の域を超えて、多くの読者の知的好奇心を刺激することでしょう。

第一部 境界に存在する知能
 脳を持たないゾウリムシの知能/皮膚感覚が脳を創る/体毛を失った人間 ほか
第二部 皮膚について
 皮膚の基本構造/サンフランシスコ留学時代/マグネシウムとカルシウム、そして電気 ほか
第三部 皮膚の見えざる能力
 女性の繊細な「触覚」/皮膚は「聴いている」/皮膚は「見ている」 ほか
第四部 皮膚とこころ
 皮膚は「予知する」/記憶する皮膚/手触りで変わる人間関係 ほか
第五部 皮膚がもたらした人間の機能
 皮膚感覚が言語を生み出した可能性/意識とは何か/白洲正子の触覚的知性 ほか
第六部 システムと個人のこれから
 意識のダークサイド/村上春樹の「壁と卵」/インターネットの影響 ほか
第七部 芸術と科学について
 回帰する美術/無意識を揺さぶる音楽/システムと個の文学 ほか


傳田 光洋[デンダ ミツヒロ]
著・文・その他

内容説明

皮膚には視覚、聴覚があり、あるいは、記憶し、予知する力がある。その知られざる「皮膚感覚」を説く気鋭の皮膚研究者が、村上春樹のエルサレム・スピーチを引用するとき、私たちが「裸のサル」になった本当の理由と運命が明らかになる―。知的にしてスリリング!ページをめくる指先の快感!

目次

第1部 境界に存在する知能
第2部 皮膚について
第3部 皮膚の見えざる能力
第4部 皮膚とこころ
第5部 皮膚がもたらした人間の機能
第6部 システムと個人のこれから
第7部 芸術と科学について

著者等紹介

傳田光洋[デンダミツヒロ]
1960年、兵庫県神戸市生まれ。資生堂リサーチセンター主幹研究員。国立研究開発法人科学技術振興機構CREST研究員。京都大学工学部工業化学科卒。同大学院工学研究科分子工学専攻修士課程修了。94年、京都大学工学博士号取得。カリフォルニア大学サンフランシスコ校研究員を経て、2009年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

k5

59
皮膚の話というよりは意識の話ですね。大脳は直接刺激されると感じるのに0.5秒という「膨大な」時間がかかることから、意識という鈍感なものに人間が構築したシステムの管理を任せるのは危険、というお話。脳が知覚する少し前に、皮膚は刺激を「予知」して電位が変化するという前フリが効いているのでとても刺激的です。抜群のセンスを発揮して思うさま芸術を語った最終章も面白い。ただ、他の本に比べると脳と意識の関係にちょっと論理のジャンプがあるかな、というのは否めません。2020/07/06

zirou1984

24
面白かった!前半部分の皮膚が持つ驚きの機能について科学的に明らかになっていく話も良かったけど、「皮膚感覚」という比喩から考える文化・芸術に関する話題もそれに劣らなかった。最新の知見として数々の論文を出展として明示しながら、様々な一般書も話題として取り上げ、20世紀以降の芸術に関する観点は著者ならではでありながら説得力があるものだった。中でも、意識と無意識に関する分野は本書を通底するテーマであり、ミクロな研究をマクロな人間観に落とし込む、その知性のバランス感覚には安心させられる。2019/05/12

ヨクト

20
体毛を失い、それに伴い脳が進化したことの可能性考察。音をCDで聴くこととライブで聴くことの違い、言語の発生とジェスチャーの関係性。どれも興味深かった。後半は蛇足な気もする。2015/12/20

MIKI(magicrose)

19
タイトル通り、皮膚が持つ能力の多彩さに驚かされまくりでした。おもしろかった!皮膚は「聴いている」「見ている」「味わっている」「嗅いでいる」「予知する」「考えている」「記憶する」… 人は、自分で思ってるよりもずっとすごい力を秘めているのかもしれない…なんて思ってしまいました。もっと意識的に自然に触れよう、もっと生の声や音を聴こう、もっと皮膚感覚を大事にしよう。 2022/04/21

Sakie

10
表紙の手触りにこだわりが見える。皮膚感覚は脳が知覚または意識するよりはるかに膨大な量の情報を感知し、瞬時に処理する機能をも持つ「外界との境界に存在する知能」である。人間の行動や心理さえ、かなりの部分を支配している。真皮の下の神経細胞が信号を受容して脳へ送り…という説明は最早古いのだ。皮膚感覚の、想像を上回る機能を紹介しつつ、本作ではより大きなシステム、人間社会の仕組みと未来にまで考察を試みている。言わんとするところはわかるが、若干弱い。私の関心は、魂は皮膚にあるか。意識せずに身体を動かせる為の鍛錬とは。2016/07/18

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