西太后秘録―近代中国の創始者〈下〉

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  • サイズ B6判/ページ数 300p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062194037
  • NDC分類 288.492
  • Cコード C0098

出版社内容情報

残虐非道で知られるあの西太后は実は名君だった! 『ワイルド・スワン』『マオ』で知られるユン・チアンが全力で描く歴史巨編世界三大悪女の一人とされ、「残虐非道の女帝」のイメージがつきまとう西太后(慈禧大后)。だが、実は当時の4億人の民を率い、47年にわたって統治を続け、中国近代化の基礎をつくりあげた、辣腕の政治家だった。
『ワイルド・スワン』『マオ』で中国の真実を描き続ける、あのユン・チアンが「誤った西太后」像を根本から覆し、「名君・西太后」の真実に迫る。

あらすじ
官僚の家に生まれ、父の失脚後は長女として一家を支えた慈禧(じき)。16歳で清朝第9代皇帝の咸豊帝の側室となり、やがて幼い息子が帝位を継ぐと、後見として政治家の頭角を現していく。しかし、息子は若くして病のために崩御してしまう。
妹の子供を養子に迎えた慈禧は、光緒帝となったその息子の後見として返り咲き、宮廷内の政治に手腕を発揮する。革新派の上級官僚の李鴻章や曾国藩らを重用し、ヨーロッパ技術を取り入れて近代化に邁進する慈禧を、やがて日清戦争での致命的な敗北が襲う!
政変への命がけの画策、宦官との恋、自らへの暗殺計画の阻止、不仲の光緒帝廃位に燃やした執念、日清戦争敗北後の復活……。誰もなしえなかった長期的な統治の秘密を、膨大な記録をもとに明らかにする!

読みどころ
その1: 后の一人を「人豚」にしたなど(これはフィクション)残虐なイメージの強い西太后像をくつがえし、偉大な政治家としての真の姿(辣腕政治家であり、宮中だけでなく外国人にいたるまで細やかな気遣いを見せたなど)が詳細に描かれた唯一の評伝。著名な著者だけに注目度が高い。

その2: 清の近代化推進プロセスや改革派の人材登用、ライバルとも協調関係をとることで目的を遂げるなど、リーダーシップ、マネジメント論としても発見が多い。

その3: 宦官との秘められた恋(発覚して宦官は処刑される)、西太后の肖像画を描いたイギリス人女性との友情など西太后の知られざる人間性もあますところなく描かれる。

第四部 光緒帝、跡を継ぐ(一八八九?一八九八年)
第十七章 中国を没落させた和平(一八九五年)  
第十八章 中国争奪戦(一八九五?一八九八年)  
第五部 表舞台へ(一八九八?一九〇一年)
第十九章  戊ぼ 戌じゅつの変法(一八九八年)  
第二十章  慈禧暗殺の筋書き(一八九八年九月)  
第二十一章 光緒帝廃位に燃やした執念(一八九八?一九〇〇年)  
第二十二章 世界を敵にまわして――義和団と組む(一八九九?一九〇〇年)  
第二十三章 苦い戦果(一九〇〇年)  
第二十四章 都落ち(一九〇〇?一九〇一年)   
第二十五章 深い後悔(一九〇〇?一九〇一年)
 
第六部 近代中国の真の革命(一九〇一?一九〇八年)
第二十六章 北京への帰還(一九〇一?一九〇二年)  
第二十七章 欧米人との友好(一九〇二?一九〇七年)
第二十八章 慈禧の革命(一九〇二?一九〇八年)   
第二十九章 投票!(一九〇五?一九〇八年)   
第三十章  叛徒、刺客、日本との水面下の戦い(一九〇二?一九〇八年) 
第三十一章 死(一九〇八年)   
エピローグ 慈禧太后亡きあとの中国


ユン・チアン[ユン チアン]
著・文・その他

川副 智子[カワゾエ トモコ]
翻訳

内容説明

時は十九世紀末。日清戦争後、衰退の一途をたどる大国・清では、帝国主義時代の西欧列強による非情な領土争奪戦が始まっていた。無気力な皇帝をはじめ、優柔不断な男たちに業を煮やした慈禧(西太后)は、国内で起こった政治改革運動「戊戌の変法」を契機に再び指導者に復帰するが、もはや国力の衰えは如何ともしがたく、清はいよいよ最後の時を迎えようとしていた…。

目次

第4部 光緒帝、跡を継ぐ(一八八九~一八九八年)(承前)(中国を没落させた和平(一八九五年)
中国争奪戦(一八九五~一八九八年))
第5部 表舞台へ(一八九八~一九〇一年)(戊戌の変法(一八九八年)
慈禧暗殺の筋書き(一八九八年九月)
光緒帝廃位に燃やした執念(一八九八~一九〇〇年) ほか)
第6部 近代中国の真の革命(一九〇一~一九〇八年)(北京への帰還(一九〇一~一九〇二年)
欧米人との友好(一九〇二~一九〇七年)
慈禧の革命(一九〇二~一九〇八年) ほか)

著者等紹介

ユンチアン[ユンチアン]
張戎。1952年、中華人民共和国四川省生まれ。文化大革命が吹き荒れた1960年代、14歳で紅衛兵を経験後、農村に下放されて農民として働く。以後は「はだしの医者」、鋳造工、電気工を経て四川大学英文科の学生となり、苦学ののちに講師となる。1978年にイギリスへ留学、ヨーク大学から奨学金を得て勉強を続け、1982年に言語学の博士号を取得

川副智子[カワゾエトモコ]
翻訳家。早稲田大学文学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

38
日清戦争後半から清の滅亡までを描く。下巻では悪女イメージが全くの誹謗中傷によるものとは言えない事件が登場。浅田次郎さんの著作『珍妃の井戸』で描かれた珍妃殺害が西太后の命令で行われた事がいともあっさりと明かされる。また皇帝の死もあらかじめ計画されたものだった。一度戦争に負けてしまうと、とことんむしられてしまう。日本に敗北した後、西欧列強の好きなように領土を蹂躙される。西欧は日本の侵略主義を批判するが、いやいやロシアもドイツも強欲さにおいては負けていない。だから戦争に負けられない。負ける戦争はしてはいけない。2022/02/02

かんやん

29
下巻は戊戌の変法、義和団事件からその死まで。読み物としては面白かったけれど、内容はやたら主人公びいきの歴史小説みたいで、案の定学術界では評判が良くなかったらしい(Wikipedia英語版)。清朝末期の近代化の試みは、西太后の画期的な政策というより、断末魔の足掻きのようにも見えてくる。そこのところの分析が、到底満足のゆくものではなかった。しかし、政治的に不当に貶められてきた(悪者にされてきた)ことはよくわかった。太平天国の乱と義和団事件は凄まじ過ぎるのでまた関連本を読んでみたい。2023/02/22

ねこまんま

28
とても興味深く読めた。具体的な資料に基づく本なので、政治や公のことがほとんどで、私生活にあまり踏み込めていないのがちょっと残念ではある。 満漢全席のこととか、他の宮中の他の女性のこととかも気になるなあ。 歴史ある中国が、当時の世界の強国に食い物にされ、抵抗すべく内外と闘っていた時代の話です。 久しぶりに「蒼穹の昴」を再読したくなったわ。2016/02/03

松本直哉

24
千年つづいた纏足の禁止や女子教育の推進などは女性の為政者でなければできない発想だろうし、生涯の最後までこだわったのが選挙制度の発足だったことを見ても西太后の革新性がよくわかる。驚いたのは政敵康有為を「野狐」と呼んでこき下ろすところで、著者によれば戊戌の変法を主導したのは彼ではなく西太后。康有為は政権を奪おうと彼女の暗殺を企てた極悪人とのことで、歴史で習ったことと正反対だが、著者の主張の是非を判断する力は私にはない。よく笑う快活さときらきら光る目、新しいものへの好奇心など魅力的な人間性が行間から垣間見えた。2018/07/26

starbro

24
歴史は常に勝者の都合で歪められたり、後世の人の勘違いで語られることが多いので必ずしも信用できる物ではないと考えています。膨大な資料および客観的事実に基づくユン・チアンの西太后秘録はかなり真実に近いような気がします。古今東西、長期間続いた政権は必ず制度疲労・平和ボケからかならず滅亡しています。歴史は繰り返すということですね!歴史にもしもはないと思いますが、慈禧大后が男だったら、日本よりも早く革命を起こし、欧米列強・日本に国土を蹂躙されることもなく、中国はアメリカを凌駕する超大国になっていたかも知れません。2015/05/06

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