西太后秘録―近代中国の創始者〈上〉

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  • サイズ B6判/ページ数 292p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062194020
  • NDC分類 288.492
  • Cコード C0098

出版社内容情報

残虐非道で知られるあの西太后は実は名君だった! 『ワイルド・スワン』『マオ』で知られるユン・チアンが全力で描く歴史巨編世界三大悪女の一人とされ、「残虐非道の女帝」のイメージがつきまとう西太后(慈禧大后)。だが、実は当時の4億人の民を率い、47年にわたって統治を続け、中国近代化の基礎をつくりあげた、辣腕の政治家だった。
『ワイルド・スワン』『マオ』で中国の真実を描き続ける、あのユン・チアンが「誤った西太后」像を根本から覆し、「名君・西太后」の真実に迫る。

あらすじ
官僚の家に生まれ、父の失脚後は長女として一家を支えた慈禧(じき)。16歳で清朝第9代皇帝の咸豊帝の側室となり、やがて幼い息子が帝位を継ぐと、後見として政治家の頭角を現していく。しかし、息子は若くして病のために崩御してしまう。
妹の子供を養子に迎えた慈禧は、光緒帝となったその息子の後見として返り咲き、宮廷内の政治に手腕を発揮する。革新派の上級官僚の李鴻章や曾国藩らを重用し、ヨーロッパ技術を取り入れて近代化に邁進する慈禧を、やがて日清戦争での致命的な敗北が襲う!
政変への命がけの画策、宦官との恋、自らへの暗殺計画の阻止、不仲の光緒帝廃位に燃やした執念、日清戦争敗北後の復活……。誰もなしえなかった長期的な統治の秘密を、膨大な記録をもとに明らかにする!

読みどころ
その1: 后の一人を「人豚」にしたなど(これはフィクション)残虐なイメージの強い西太后像をくつがえし、偉大な政治家としての真の姿(辣腕政治家であり、宮中だけでなく外国人にいたるまで細やかな気遣いを見せたなど)が詳細に描かれた唯一の評伝。著名な著者だけに注目度が高い。

その2: 清の近代化推進プロセスや改革派の人材登用、ライバルとも協調関係をとることで目的を遂げるなど、リーダーシップ、マネジメント論としても発見が多い。

その3: 宦官との秘められた恋(発覚して宦官は処刑される)、西太后の肖像画を描いたイギリス人女性との友情など西太后の知られざる人間性もあますところなく描かれる。

第一部 嵐の時代の妃(一八三五?一八六一年)
第一章  皇帝の側室(一八三五?一八五六年)
第二章  アヘン戦争から円明園炎上まで (一八三九?一八六〇年)
第三章  咸豊帝死す(一八六〇?一八六一年)
第四章  中国を変えた政変(一八六一年)
第二部 垂簾聴政(一八六一?一八七五年)
第五章  近代化への長い道のりの第一歩(一八六一?一八六九年)
第六章  西欧への初渡航(一八六一?一八七一年)
第七章  宿命の恋(一八六九年)
第八章  西欧への怨念(一八六九?一八七一年)
第九章  同治帝の生と死(一八六一?一八七五年)
第三部 養子を通しての支配(一八七五?一八八九年)
第十章  皇帝にされた三歳の子(一八七五年)
第十一章 加速する近代化(一八七五?一八八九年)
第十二章 帝国の擁護者(一八七五?一八八九年)
第四部 光緒帝、跡を継ぐ(一八八九?一八九八年)
第十三章 遠ざけられた光緒帝(一八七五?一八九四年)
第十四章 頤和園(一八八六?一八九四年)
第十五章 引退と解放(一八八九?一八九四年)
第十六章 日清戦争(一八九四年)


ユン・チアン[ユン チアン]
著・文・その他

川副 智子[カワゾエ トモコ]
翻訳

内容説明

十九世紀半ばの清朝中国―西欧列強が権益拡大を虎視眈々と狙う中、夫である皇帝の崩御を機に政権を掌握した慈禧(西太后)。彼女は頑迷な守旧派を抑えつつ、改革派官僚とともに開国に舵を切り、貿易で得た財貨をもとに通信網・鉄道敷設といった数々の改革を断行する。宦官との秘められた恋、帝位を継いだ息子の急逝、新たな皇帝との葛藤…慈禧が権力の座を降ろされた、その間隙を突くように日清戦争が勃発する。

目次

第1部 嵐の時代の妃(一八三五~一八六一年)(皇帝の側室(一八三五~一八五六年)
アヘン戦争から円明園炎上まで(一八三九~一八六〇年) ほか)
第2部 垂簾聴政(一八六一~一八七五年)(近代化への長い道のり第一歩(一八六一~一八六九年)
西欧への初渡航(一八六一~一八七一年) ほか)
第3部 養子を通しての支配(一八七五~一八八九年)(皇帝にされた三歳の子(一八七五年)
加速する近代化(一八七五~一八八九年) ほか)
第4部 光緒帝、跡を継ぐ(一八八九~一八九八年)(遠ざけられた光緒帝(一八七五~一八九四年)
頤和園(一八八六~一八九四年) ほか)

著者等紹介

ユンチアン[ユンチアン]
張戎。1952年、中華人民共和国四川省生まれ。文化大革命が吹き荒れた1960年代、14歳で紅衛兵を経験後、農村に下放されて農民として働く。以後は「はだしの医者」、鋳造工、電気工を経て四川大学英文科の学生となり、苦学ののちに講師となる。1978年にイギリスへ留学、ヨーク大学から奨学金を得て勉強を続け、1982年に言語学の博士号を取得

川副智子[カワゾエトモコ]
翻訳家。早稲田大学文学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

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だまし売りNo

43
歴史を振り返ると中国近代史の問題の出発点は阿片戦争であった。違法ドラッグを蔓延させて侵略することは世界史でも類のない非道である。しかし、李鴻章ら士大夫が阿片戦争に衝撃を受けた様子はない。それは清が征服王朝ということがあるだろう。これに比べると西太后は満州貴族の家に育った者として、また、皇帝の後宮に入った者として阿片戦争の影響を受けている。問題意識を士大夫階級以上に抱く環境にあった。西太后は反動的な守旧派イメージが強いが、近代中国の創始者と位置付けることは意外と合っている。 2023/12/03

星落秋風五丈原

36
ライバルの側室の手足を切り取ったなど、すっかり世界三大悪女という評判が行き渡っている西太后。それでも日本では浅田次郎さんの『蒼穹の昴』の影響で少しは評価が高まっている方だ。中国は国を称えることは遠慮しないが、君臨した女性を称えることはしない。我が国と同じく未だ女性の為政者が誕生しておらず、根本的な男尊女卑思想を感じる彼女は守旧派で、改革派の光緒帝と対立したというのが通説だが、本書ではむしろ外国との貿易を推進し、優れた技術を取り入れることを奨励した改革派に属している。2022/02/01

ねこまんま

34
面白いなあ!彼女がもし男だったら、中国が、いや、世界が変わっていたことは間違いない。浪費家でヒステリーな悪女のイメージがあったけど、周りの男が頼りないだけやん。東太后と常に協力関係にあったってのも驚き。これだけ女性が虐げられていた時代に君臨するなんて、小説より奇なり?! 下巻へ続く・・2016/01/29

かんやん

29
近代中国の立役者として西太后を評価。名誉回復の試み。『ワイルドスワン』同様、読み出すと止まらない語り口の巧みさがあるけど、主人公ひとり正しく立派で、敵やライバルは傲慢、腰抜け、狡猾だったりするような歴史小説となんか似てるなあ。えらく西太后びいきで(今まで貶められてきたにせよ)、あまり客観的でない。とはいえ、歴史読み物としては抜群に面白いし、宮廷描写も一級。上巻は阿片戦争、アロー戦争、太平天国の乱、ヤクブ・ベクの乱、清仏戦争、日清戦争……。ため息が出ちゃいます。それと凌遅刑ね。2023/02/11

starbro

25
浅田次郎の小説等で西太后に関しては、断片的な知識・認識はあるものの、本格的な歴史書は今回が初めてです。中国からの膨大な情報開示に基づき、実態に近い歴史が客観的に明らかにされています。激動の19世紀に生きた孤高の女性権力者の生き様には凄まじいものがあります。トータルの感想は下巻読了後に。2015/05/05

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