パリ環状通り (新装版)

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  • サイズ B6判/ページ数 190p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062193368
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

出版社内容情報

2014年ノーベル文学賞!過去から断ち切られ、混迷の時代を生きる父なき世代の屈折した心情を詩情豊かに描くモディアノの代表作!過去から断ち切られ、混迷の時代を生きる「父」なき世代の屈折した心情を詩情豊かに描く傑作。確固とした支えを持たない語り手の「私」は、自らの源を求めて過去をさかのぼり、夢とも現実ともつかない父を執拗に追い求める。いかがわしい仲間に出入りする人生の落伍者である「父」を優しく見守りつづけ、共にその人生を歩もうと試みる。つかの間のやすらぎをもとめ、二人の故郷喪失者はパリの夜を中古車に乗って徘徊する・・・・・

パトリック・モディアノ[パトリック モディアノ]
著・文・その他

野村 圭介[ノムラ ケイスケ]
翻訳

内容説明

自らの源流を求めて過去を遡る「私」。パリの夜を中古車に乗って「父」と共にすべるように走る―2014年ノーベル文学賞!モディアノ代表作。

著者等紹介

モディアノ,パトリック[モディアノ,パトリック] [Modiano,Patrick]
1945年生まれ。1972年『パリ環状通り』でアカデミー・フランセーズ大賞を受賞。1978年『暗いブティック通り』でゴンクール賞を受賞。2014年ノーベル文学賞受賞

野村圭介[ノムラケイスケ]
1941年生まれ。早稲田大学名誉教授。専門はフランス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

326
読者を戸惑わせる小説である。序文も曲者なのだが、小説の冒頭はいきなり何人もの人物が入り乱れ、人物相互の関係性はおろか、彼らの正体さえ不明であり、限りなく胡散臭い。語り手の父にしてもまたそうであり、物語が進むにつれて、なにがしかは明らかになりつつ、しかしその反面益々不分明さを増してゆくのである。序文には父性の不在を言うが、物語中の父自体が既に父性を喪失しており、読者はここで二重の混迷の前に佇むことになる。そして、小説は最後まで明確な像を結ぶことはなく、ある種の曖昧さの中を揺曳することになるのである。2017/05/06

マリリン

45
中毒性を感じるモディアノ作品。時代背景ナチス占領下のパリだが、霧が晴れたように物語が見えてくるのは中盤以降。ホテルのバー・古い写真...向こうの世界に引きずり込まれるような錯覚に陥る。写真の中の父を探し求めて彷徨う姿。父に突き飛ばされた17歳の息子...。父を必死に探し求め守ろうとする姿..。明らかに父を卑下する視線...。ここでもユダヤ人は身の置き所がないのか。パリの華やかさの中に漂う陰鬱な空気や人間の脆弱さと儚さ。登場人物が消えてゆく最後のシーン。本を閉じるとすべてが幻であったかのような余韻が残る。2023/12/11

蘭奢待

35
1/4ほど読んだが、挫折。限りある時間は有効に使いたい。 読んでないけど管理上、読んだ本に登録。2019/09/17

kthyk

20
引き出しの奥から見つかった父とその仲間たちの古い写真。そこはパリ近郊の鄙びたホテル、クロ・フクレのバーの中。時代は悪夢のようなナチ占領下のパリ。板張りの壁にレンガ作りの暖炉前には皮製肘掛椅子、ミュラーユと父が座っている。奥にあるバー・カウンターにはホテルの支配人、モー・ガラとマルシュレ。物語は古い父の写真の世界に亡霊のように入り込んだ「わたし」。わたしがモディアノ自身であれば、彼は1945年生まれ、父なき世代。戦後の息子が父の時代の亡霊に出会う物語だ。2020/12/08

ソングライン

17
大戦中のパリ、ホテルのバーで撮られた1枚の写真,そこには3人の男と一人の女、最も太った男が作家の主人公の父らしい。いつのまにかその時代に入り込み、父に近づこうとする主人公。美食と酒と乱痴気騒ぎ、その中で国籍のないユダヤ人である父の怯えた振舞、渾沌のなかで歴史の闇に消えて行った人々、モディアノの描くやるせない世界を旅する読書です。2022/11/24

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