出版社内容情報
戦国末期、謀反により命を狙われた姫と幼き小姓を守るため、一人の男が一国を相手に血刀を振るう。凄絶エンターテインメント時代小説
戦国末期下野国、謀反により命を狙われた姫と幼き小姓を守るため、一人の男が一国を相手に血刀を振るう。男の名は神子上典膳(みこがみ・てんぜん)。伊東一刀斎より印可を受け、後に小野忠明と改名、柳生新陰流と並び徳川将軍家剣術指南役となったその人である。
山中の逃避行、多勢による包囲網、他国の裏切り、刑場での罠……。
一刀即万刀、万刀即一刀、一に始まり一に帰す。
切れ目なく訪れる絶体絶命の危機に、一刀流奥義“無想剣”がうなりをあげる。
【著者紹介】
1963年生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒業。1988年、テレビドラマ「ミスター味っ子」で脚本家デビュー。脚本家としての代表作に、原作・構成・脚本を務めた「ノワール」などがある。2010年、『機龍警察』で小説家デビュー。2011年、『機龍警察 自爆条項』で、「このミステリーがすごい!」第9位となり、凄絶なアクションと重厚なドラマの融合が話題を呼んで、新時代のエンターテインメント作家として注目を集めている。
内容説明
白刃一閃!血が香り、殺戮の気が充ちる。幾重にも切れ目なく訪れる絶体絶命の危機!戦国末期、一人の男が一国を相手に血刀を振るう。その名は神子上典膳。剣聖・伊藤一刀斎より印可を受けた一刀流の達人である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
38
御子神典膳の名を聞いてピンと来るか来ないか。剣豪ものを一般人よりも読んでいる自負があるので、キャラクター描写と、途中までの物足りなさ(ケレン味の大袈裟感)に違和を感じ、満足感はなかったが、終盤の展開は、それを覆す構成力がある。オチは自分のような拗れた剣劇好きにも納得できるかな。史実(苦笑)との整合をこうとるか、と。所詮、兵法者など実在であってもまともに後世に残れない、虚構の存在。それにフォーマルを求めた自分が悪い。作者の自由無碍は現代の講談として提供すればいい。面白い。 2025/03/04
ren5000
28
読んでみて月村さんのノンストップアクションの荒唐無稽さは時代小説と合うなと思いました。今回の主人公のヒーローは完全無欠の強さではなく結構やられちゃうので物足りない感もありました(笑)他の方の感想読んで知ったのですが神子上典膳って実在の人物だったのですね。2016/04/27
マムみかん(*ほぼ一言感想*)
28
『機忍兵零牙』や『機龍警察』のようなSF設定は無く、純粋な剣豪小説、時代ハードボイルドでした。映像的でスピーディーなアクション、危機に次ぐ危機、どんでん返しなどで、1本の映画を見終わったかのような読後感♪単なる勧善懲悪のヒーローものではなく、主人公「典膳」の造形も良かった~!すべての剣の極意とされる『無想剣』を彼に遺した、師匠の愛に心打たれます!ラストも、新たな始まりを予感させて好きですね☆2012/12/17
カザリ
25
月村作品は時代物しかはまれないのですが、好きです。もうストーリーじゃなくて描写フェチ。剣豪もので勧善懲悪で水戸黄門的というか、私は大好きなのですが、月村さんだったら無限の住人のノベライズ完璧だよなあと思う。アクションシーンだけ笑月村作品でいつもおしい、と勝手に思うのは文章の技巧がうますぎて、そういうテクを超えた人情要素がないところ。かっこよすぎるなあと思いつつ5回目!大好きだー笑 2019/01/25
キキハル
24
一気読みの時代劇剣豪エンターティンメント、面白かった!黒い長羽織をまとい無私に人助けをする牢人、神子上典膳。彼は一刀流夢想剣の唯一の使い手でもあった。ヒーローにふさわしい格好いい活躍ぶりだが、彼の心の内には暗くのたうつ闇があるようで。典膳を追う者、討とうとする者、恩を返すために手助けする者。様々な情念が入り乱れ息苦しいほど。世に並ぶ者無い剣の腕をもってしても、己を救うことはなお難しいのか。自らを痛めつけるように剣を振るうのが切なかった。せめて澪姫と小弥太がささやかな憩になればと思う。時代物もよいなあ。2014/01/16