出版社内容情報
「この作品を盗作してください。さもなければ、あなたの小説はもう刊行しません」担当編集者から忌むべき提案をされた乱歩賞作家は…
「この作品を盗作してください。さもなければ、あなたの小説はもう刊行しません」謎の原稿を送りつけてきた担当編集者の口から信じられない言葉が飛び出した。江戸川乱歩賞受賞から10年になるミステリー作家は頑なに断るが、編集者は次から次へと忌むべき提案をしてくる。いったい、この男の目的は何なのか、この原稿は何なのか、そして私は何者なのか。デビュー10年の江戸川乱歩賞作家が、小説を書くことを突き詰めた問題作。
内容説明
講談社の担当者から「読んでください」と送られてきた出所不明の小説原稿。その後の打合せで、その盗作を勧められる。「いったい私をなんだと思っているのか」投稿から15年、デビューから10年となる江戸川乱歩賞作家の、屈辱と苦悩の日々がはじまる―。
著者等紹介
三浦明博[ミウラアキヒロ]
1959年宮城県生まれ。明治大学商学部卒業。広告製作会社でコピーライターとして勤務。89年にフリーに。2002年『滅びのモノクローム』で第48回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
乱歩な人本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
RIN
31
著者が小説の魔力に絡め取られていることがすごく伝わる熱は感じたが、この作品を「小説」としてどう感じればいいか微妙な読後感。小説の構成として技巧を凝らしたものなのかもしれないが、書けない時の小説家の気持ちや盗作をすることに対する抵抗感とか言い訳感が必死で、自虐的随筆を読んでる感覚も。まぁ、つくづく読者は高みの見物で勝手なことを言ってます、すみません、とは思いました(笑)2015/06/26
むつぞー
18
なかなか面白い話でした。でもできればこの作品、もっと深く書いてあっても良かったと思います。 編集者から持ちかけられた盗作…その件について作家は当然のことながら悩みます。 前半はこの悩みだけで過ぎてしまうといってもいいでしょう。 だから物語が動かないと、もどかしく感じるかもしれませんが、私としては実はもっと迷ってもいいと思ったのです。 作家として死にたい…でも実際作家を続けることも大変で、あとがないと最後通牒を付きつけられた作家。とはいえその作家としてのプライドや創作することの意味を問われているのですから。2012/06/15
mikarin
14
前回、図書館の返却日にどうしても行けなくて、時間が空いたダンナに行ってもらい、ついでに何でもいいから借りてきてと頼んだ所、本を読まない人が適当に選んだうちの1冊。自分ではまず選ばないかな〜。でも小説家として生きていくことの大変さは伝わってきましたよ。2014/10/20
浅見陽一郎
11
江戸川乱歩賞作家 三浦明博氏のだいぶ古い作品、華やかなデビューをした小説家、中村はその後鳴かず飛ばずの生活、 そんなある日、担当の編集者 溝口から盗作の提案を受ける、冗談じゃない、これでも乱歩賞作家だと、一旦は憤慨した中村だったが、編集者からはもし盗作して本を出したら 次作まで刊行を保証する、NOならもうあなたの作品は扱わないと....そう言われた中村は一字一句同じ小説原稿に手を出してしまった。 2022/07/03
mitsuru1
6
編集者から原稿を渡され盗作を進められた作家は、 ウーン設定は面白いと思うけど、そもそもここに無理があるような気がする。もう少し違う解決法があれば。何かいまひとつスッキリしない。2012/07/09