「世界史」の哲学 古代篇

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  • サイズ B6判/ページ数 349p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062172066
  • NDC分類 102
  • Cコード C0010

出版社内容情報

イエスはなぜ殺されたのか。その死と復活を記した福音書は喜劇なのか。常識を覆しつつ紡がれる、まったく新しい<世界史>という物語イエスの不条理な死はなぜ必要だったのか。その死と復活を記した福音書の物語は喜劇なのか。近現代社会の根幹をなす、資本主義とキリスト教から全貌を説き明かす。常識を覆しつつ紡がれる、まったく新しい<世界史>という物語。知的興奮に満ちた新しい哲学!




大澤 真幸[オオサワ マサチ]
著・文・その他

内容説明

世界史は、謎の殺人事件から始まる一種のミステリーである。イエスはなぜ殺されたのか。その死と復活を記した福音書の物語は喜劇なのか。常識を覆しつつ紡がれる、まったく新しい「世界史」という物語。

目次

普遍性をめぐる問い
神=人の殺害
救済としての苦難
人の子は来たれり
悪魔としてのキリスト
ともにいて苦悩する神
これは悲劇か、喜劇か
もうひとつの刑死
民主主義の挫折と哲学の始まり
観の宗教
闘いとしても神
予言からパレーシアへ
調和の生と獣のごとき生
ホモ・サケルの二つの形象

著者等紹介

大澤真幸[オオサワマサチ]
1958年、長野県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。思想誌『THINKING「O」』主宰。2007年『ナショナリズムの由来』で毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

37
私の理解では、本シリーズは現代の最大の問題である資本主義の行き詰まりと、資本主義に限りなく近い近代性との違いによる資本主義の問題の解決策の整理のために、著者がヘーゲルやフーコーの手法を参考にして思索したものです。したがって、最も重要なのは近代篇です。そのことは本書の第1章で論じられており、同じことが10年後に出版された近代篇でも繰り返し論じられています。上記の問題を考える範囲で聖書が重要なのは、キリスト教は、キリストでなかったかも知れない偶有性によって、むしろキリスト教の真理が担保されているからです。つま2021/07/04

ゆう

19
歴史を叙述するということを考える。ある期間を古代たらしめるものがあるとすれば、それはそれがいつであるかということではなく、それが現代から遡及的にどのような過去としての意味をもつかに依存する。本書では社会学者大澤真幸が、資本主義という現在具体的かつ広範な影響力をもつ制度を相対化することを試みており、その行為がタイトルである世界史の哲学、その哲学するという行為の意味するところであると思った。古代編はその嚆矢であり、その試みがどこに行き着くのかはまだ定かではない。現在を相対化すること、歴史を叙述すること、哲学→2023/08/13

梟をめぐる読書

16
“イエス・キリストの死”という「特殊」な信仰に基づくキリスト教はなぜ西洋において圧倒的なシェアを勝ち得たのか。それは資本主義という「特殊」なはずの様式が「普遍的」な産業形態として流通する今日の事態とパラレルなのではないか…というミステリアスな問題提起から、キリスト教と資本主義の関係を見つめなおす。かなり刺激的な論考。正直、聖書のテクストを飛躍してイエスとソクラテスが対照されるあたりから理解が追いつかなくなってくるが、要するに「資本主義」と「キリスト教」を迎える下地は古代ギリシャの時代からできていた、と。2016/01/05

みのくま

14
西洋はヘブライズム(キリスト教)とヘレニズム(古代ギリシア)の融合により成り立つ。その起源は、イエス・キリストである。イエスは、触れただけで病を治す医療の神としての側面があった。このことは、イエス活動期に新興の、人気のあったギリシアの医療神アスクレピオスを吸収することになる。また、ソクラテスを起点にストア派(新プラトン主義→一者)、キュニコス派(ホモ・サケル)の二大ギリシア哲学を突き詰めると、キリスト教と親和性が非常に高くなる。こうしてヘブライズムとヘレニズムは融合し、西洋普遍思想が形作られる。2017/10/13

袖崎いたる

11
普遍性の概念は社会的文脈に基づいて定義された普遍性を乗り越える。普遍性とは何か。著者はそれを<西洋=近代=資本主義>という普遍を勝ち得た世界枠に探る。なにせ現実世界は資本主義を外枠とする枠物語だから。で、資本主義の精神はその拡大根拠がキリスト教との連続性にあるとし、その端緒たる神の受肉と殺害の事件から、西洋そして世界を支配した神の弱さに注目する。その殺人事件は、加害者が神であり被害者も神であるような稀有な事件だ。問題はそれが普遍性を有した事実である。――本書を読めば女性声優の見目の好ましさがわかるかも!笑2016/02/27

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