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裁かれた命―死刑囚から届いた手紙

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  • サイズ B6判/ページ数 349p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062168366
  • NDC分類 368.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

高村薫氏推薦 〈彼ははたして死に値する極悪人だったのか。40年目の疑問が私たちに襲いかかる。〉

忘れられた死刑事件が、人が人を裁くことの意味を問いかける

1966年(昭和41年)、東京・国分寺市で一人の主婦が被害者となった強盗殺人事件が発生した。4日後に逮捕された22歳の犯人・長谷川武は、裁判でさしたる弁明もせず、半年後に死刑判決をうけ、5年後には刑が執行された。
 その長谷川死刑囚が、独房から関係者に送っていた手紙が残されていた。とくに事件の捜査検事だった土本武司は、当時、手紙に激しく心を揺さぶられ恩赦へと動き出そうとしたほどだった。

昨年、NHK-ETV特集で放送され大反響を得た内容に、その後の継続取材で判明した新事実を積み重ねた長編ノンフィクション。裁判員裁判のもと、誰もが死刑事件と向き合う可能性があるいま、必読の一冊。講談社ノンフィクション賞受賞後第一作。

【筆者より】
死刑囚が遺した手紙から、長谷川武という一人の青年の人生を辿ってきました。命の重みを受け止めようとしなかった司法の現実が明らかになり、戦前、戦後の時代の渦の中を生きた、ひとつの家族の姿が浮かび上がってきました。(中略)裁判は法廷の中だけで判断を迫られますが、本書で見てきたように、法廷に現れる資料は万全ではありません。限られた材料で判断を下さなくてはならないという裁判の大前提、そして人が人を裁くことの不完全さを、裁く側は頭に入れておかなくてはならないと思います。




堀川 惠子[ホリカワ ケイコ]
著・文・その他

内容説明

一九六六年(昭和四一年)、東京・国分寺市で一人の主婦が被害者となった強盗殺人事件が発生した。四日後に逮捕された二二歳の犯人・長谷川武は、裁判でさしたる弁明もせず、半年後に死刑判決をうけ、五年後には刑が執行された。その長谷川死刑囚が、独房から関係者に送っていた手紙が残されていた。とくに事件の捜査検事だった土本武司は、当時、手紙に激しく心を揺さぶられ恩赦へと動き出そうとしたほどだった。人が人を裁くことの意味を問う、注目のノンフィクション。

目次

第1章 検事への手紙
第2章 長谷川武の足跡
第3章 死刑裁判
第4章 弁護士への手紙
第5章 第三の人生
第6章 文鳥と死刑囚
第7章 失敗した恩赦
第8章 母と息子
第9章 罪と罰
第10章 母の死
終章 裁かれたのは誰か

著者等紹介

堀川惠子[ホリカワケイコ]
1969年広島県生まれ。フリーのドキュメンタリーディレクターとして番組制作に取り組むとともに、ノンフィクション作品を発表している。『死刑の基準―「永山裁判」が遺したもの』(日本評論社2009年)で、第32回講談社ノンフィクション賞受賞。主な番組は『チンチン電車と女学生』(日本テレビ 2003年 放送文化基金賞、民間放送連盟賞最優秀賞)、『ヒロシマ・戦禍の恋文』(NHK 2005年 ATP賞ドキュメンタリー優秀賞)、ETV特集『死刑囚永山則夫~獄中28年間の対話』(NHK 2009年 ギャラクシー賞大賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

75
『永山則夫 封印された鑑定記録』『教誨師』の前に書かれた堀川さんのノンフィクション作品。1966年に強盗殺人事件を起こした死刑囚の手紙から、事件や裁判記録を取材していくうちに浮かび上がってきたひとつの家族の歴史。もう一方で、事件に向き合い人が人を裁き、命を奪う判断を下す死刑制度についても言及している。生まれ育った環境というものが、時に犯罪の背景に深い影を投げかけていることがある。それが取材していくなかで次第、次第に明らかになっていく。これも『永山則夫』と同様に、読み応えのあるものにしている。2015/05/07

ゆみねこ

55
長谷川武と言う、一人の貧しい青年が犯した強盗殺人事件。彼は初犯、しかも殺害したのは一人。命の重さは一人であろうが複数であろうが同じものとは思いますが、もしも私選弁護人が付いていたら?永山基準の後の事例であったらなどと想像してしまいました。彼が遺した手紙が物語るもの、人が人を裁くことの意味。司法とは何だろうか、考えさせられる一冊でした。2015/05/16

ころりんぱ

52
裁判員制度がある今、自分が裁く立場になることもある思うと余計にこの本の重みを感じます。被害者側の本など読んだとき、犯人はどんな罰でも受けるのが当然、一番保護されるべきは被害者遺族と思いました。が、手紙を通して一人の死刑囚の人生や心の中を解き明かし、彼に関わった法曹の人たちの心情にまで迫ったこの本を読んで、犯罪者もまた生きている人間なんだとハッとさせられました。死刑確定後の長谷川武のたくさんの手紙は、死を前にして自分の罪に向き合いより良き償い方を考えている…。感想書ききれません。とにかく読めて良かった。2015/12/30

クリママ

39
ノンフィクション。死刑を求刑した担当検事、第2,3審の弁護人へ届いた死刑囚からの手紙。助命の嘆願でもいいわけでもない。かかわった多くの人は故人となってしまった40年以上も前の三多摩で起きた強盗殺人事件。地道な掘り起こし、当時のことを語る元検事の勇気に敬意を持つ。時代の趨勢、法や人のできることの限界を見る思いだ。ただ、全く落ち度なく犯罪に巻き込まれた被害者、その家族については触れられていないので、死刑の是非について語られているのもではないが、知らないことを知り、それはとても重いものだった。2017/03/02

ちゃんみー

37
2011年に出版された本。その当時から44年前を遡り取材を重ねて、死刑囚であった長谷川武(一人の女性を殺害し死刑判決の後、5年で執行)の人となりに迫り、死刑制度や司法のあり方を問うている本である。死刑を求刑した検察官や弁護士に宛てた彼からの手紙の内容から読み取るのであれば、死刑制度は果たして意味のあるものなのかと思わずにはいられない。そもそも検察が忙しかった時期であったからこそ、死刑になってしまっただけで、今なら無期止りであろう。事案によっては死刑は回避されなければならないかもと思った次第である。2013/10/09

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