出版社内容情報
木造の古建築を手がけた「木工」と呼ばれる職人たち。古来、彼らは伝統技術をいかに保持し、今日まで発展させてきたのか。律令政府から中世寺社、江戸幕府に至る造営組織の変遷を追究。東寺・高野山・伊勢神宮などで活動した木工の実態を、系図などをもとに解き明かし、中世から続く内裏の大工・木子氏や、建築様式と木工との関連性にも説き及ぶ。
内容説明
古建築を手がけた職人「木工」は、伝統技術をいかに保持し今日まで発展させてきたのか。古代から近世に至る造営組織の変遷を追究。東寺・伊勢神宮などで活動した木工の実態に迫り、内裏の大工・木子氏にも説き及ぶ。
目次
1 造営組織の歴史(古代の造営組織;中世の造営組織;近世の造営組織)
2 木工の系譜(東寺;高野山;伊勢神宮;北野天満宮;木子氏について;建築様式と木工との関連性)
著者等紹介
浜島一成[ハマジマカズナリ]
1958年埼玉県に生まれる。1990年日本大学大学院理工学研究科博士後期課程建築学専攻修了。現在、日本大学理工学部建築学科講師、工学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
105
古代より、古建築を立てた「木工」は中世までに、律令政府の管理を離れる。昔から民間職人集団の入札が効率的であったのだと思う。永く木工集団を維持してきた「東寺」「高野山」「伊勢神宮」「北野天満宮」はそれぞれ、似たような業態で有りながら、少しずつ形態が異なっており、興味深い。東寺の木工集団であった木子氏は、近代に入り皇居明治宮殿を建設し、東京帝大で建築史の初代教授までなり、1300年に渉る日本木工集団の掉尾を飾る。なお、一族は建築業を営んでいる。「金剛組」次位の業界長寿企業といえよう。2022/06/16
zoe
18
例えば東寺の訪問前後に読むと吉。大工や棟梁等は古くからある呼び方だが、意味は変化してきた。次々に建立されている時代の大工は官僚トップ。次官は少工。職業連帯組織が形成され、寺社建築や修繕の技術が伝承されてきた。この本では、東寺・高野山・伊勢神宮・北野天満宮の大工の系譜について触れている。調査の過程で、記録の間違いか作為的な改竄と思しき例も見つかったりしている。給金なども所々で紹介されているが、とある時代の金銭単位が、当時の価値でどの位かがピンと来ず、こんなことも自分は分からないのかと反省。2022/05/28
Go Extreme
3
造営組織の歴史 古代の造営組織: 律令制以前 律令制以後 律令制の弛緩 中世の造営組織: 主な寺社における工事管理組織 木工の組織 中世における行政組織 近世の造営組織: 江戸幕府 建築技術書 木工の系譜: 十六世紀まで 十六世紀から十九世紀:応仁の乱後から江戸幕末 木子氏について 建築様式と木工との関連性2022/05/28
林克也
2
時代時代や寺社毎の大工(木工)の仕事の得方や組織体系、呼称についてはそれなりに知ることができたが、肝心の職人たちの仕事のやり方や生活の様子、そして“リアルな思い”などについて詳しく知りたいと思った。2022/08/03