内容説明
「金閣寺焼失事件」に心を奪われた二人の作家・三島由紀夫と水上勉。生い立ちから気質まで、ことごとく対照的な二人を酒井順子が解剖。面白すぎる新・文芸評論。
目次
はじめに
金閣寺
母と故郷
寺と戦争
美と女
生と死
おわりに
著者等紹介
酒井順子[サカイジュンコ]
1966年東京生まれ。2003年刊行の『負け犬の遠吠え』で婦人公論文芸賞、講談社エッセイ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さつき
79
インパクトのある題名に惹かれて。金閣寺放火事件を題材に作品を書いた三島由紀夫と水上勉。2人の作家が事件のどういった面に衝撃を受けたか。犯人の修行僧との共通点は?など分かりやすくまとめられています。東京生まれ学習院出身の三島と、若狭の寒村に生まれ、口減らしのため寺の小僧になった水上。2人の生い立ちを対照的に捉えることで、よりドラマチックに感じられます。『金閣寺』を読んだのは学生時代だし、水上の作品はほとんど未読なので、この機会に読んでみたくなりました。2021/01/05
♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤
58
読みともさんのレビューに惹かれて手にとった1冊。本書は、昭和25年林養賢が金閣寺に火を放って全焼させた事件をモチーフに、水上勉と三島由紀夫の2人の作家が作品を書いたものを比較した1冊。作品はもちろん、2人の作家自身の生き方や美意識なども比較されていて興味深い。水上勉は犯人と同じ様な境遇だったため寄り添った作品になっていて理解しやすかったが、三島由紀夫は、フィクションであり複雑な心を反映しているので難解だった。それぞれの実際の作品『金閣寺』『五番町夕霧楼』『金閣炎上』も読んでみたい。2021/03/09
アルピニア
55
二人の作家の3つの作品(「金閣寺/三島由紀夫」、「五番町夕霧楼、金閣炎上/水上勉」)についてのエッセイ。同じテーマを扱った作品を通して、その捉え方の違いをどう評するのかに興味が湧いて手に取った。大雑把にいうと、三島は林(放火犯)の供述の中の「美への嫉妬」という点のみを取り上げてモチーフとして利用しただけで、林に興味はない。それに対して、水上は林という人間を書こうとした。林に自己を重ねて感情移入し過ぎたきらいがある。とのこと。酒井さんから見た両氏の人物像を鵜呑みにする気はないがとても好奇心をくすぐられた。2022/03/03
takaC
35
なるほど。だから、『金閣寺の”燃やし方”』なのか。とても面白かった。酒井さんGJ!2011/04/26
スノーマン
29
対照的な二人の作家が描いた金閣寺事件。酒井さんは単純に好きすぎてはまっていて楽しんでるだけやろうけど、自分の足で目で鼻で感じながら取材しているので読んでるこちらもとても楽しい(笑)三島も水上もどちらも知れば知るほど気になるひとだ!どちらの著作もほとんど読んでいないので、酒井さんのおかげでわしわし興味が湧いてきた〜。2015/05/17