内容説明
将軍・吉宗に駆り出され、管掌外の経済政策に乗り出す大岡越前。庶民を苦しめ、幕府財政を悪化させる米安・物価高をただすため貨幣の統制を図る越前に両替商・三井一族は前代未聞の奇策を繰り出す。
著者等紹介
高任和夫[タカトウカズオ]
1946年、宮城県生まれ。東北大学法学部卒業。三井物産入社。’85年に『商社審査部25時』を発表。以降、作家とサラリーマンの二足のわらじを履き続ける。’96年、国内審査管理室長を最後に三井物産を依願退職、作家活動に専念(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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誰かのプリン
20
副題の【大岡越前と三井一族】に引かれて読みました。一体大岡越前と三井一族はどういう関係なのか疑問に思ったからです。大岡越前なので、三井とは経済に関する裁判沙汰の小説かと思いきや意外や意外。ここに登場する大岡は、裁判より民政が得意でもあり好きなのだ。読むと三井一族との関係も解り、成る程と納得でき面白く読了しました。2018/08/13
なにょう
15
電車でおじさんが読んでた。これは!脳味噌使った。江戸時代は江戸では金、大阪では銀、庶民は銭を使ってて…江戸は米もとれなくて、米は奥州から、持ってきて、諸物資は上方から運んできてた。武士の給料は米で払われてて、米の価値が下がって武士はビンボー、幕府の財政も火の車。そこに現れた吉宗と大岡越前。一方、幕府なぞあてにせずたくましく生きる商人達がおった。★江戸時代は庶民の暮らし、チャンバラがよくイメージされるけど、施政者、大物商人の世界も面白いもんだ。意外に今だに続いてるものがある。2017/01/07
おばりん
6
吉宗を別の視点から見ると人物の評価が変わったりして、小説の面白さね~三井家の初代、二代、三代とそれぞれに魅力的ですが、継ぐべき人が問題児だったらどう対処するかも決められてるのかしら?時代劇なのにしっかり経済小説で難しいながらも愉しめました。 2012/04/03
陸
4
副題が「大岡越前と三井一族」だけど、主役というか主眼は江戸の経済か。どうしても忠相贔屓の視点から見てしまう。真面目で勤勉で一本義な忠相に、一緒になって胃が痛くなりそうだった。皆で無理難題を押し付けてくる。でもこの人がその時代にいてくれて良かった、と思いつつ、やっぱり胃にくる。2011/09/11
やむやむ
3
まずはドラマのせいでしみついた爽やかで賢明なイメージの吉宗像が完全に覆される。もちろん愚迷では無いが若干頑迷、そしてそんな吉宗に振り回されながら常に江戸庶民の暮らしとそのための物価安定、貨幣政策と地方の開墾に生涯を賭して働いた大岡越前、かたや京から幕府の短そうな行く末を見据えながら更にしたたかにしなやかに100年先の生き残りを着々と図っていく三井一族。両者が本書で交わるのは冒頭の1度だがその後お互いを強く意識しながらそして水面下で戦いながらお互いの目的達成に奔走していく様に引き込まれあっという間に読了。2018/04/28