内容説明
「お目目が見ている、怖い、いや」。美しさと恐怖に満ちた10の物語がここにある。
著者等紹介
石神茉莉[イシガミマリ]
ブラジル・リオデジャネイロ生まれ。日本大学芸術学部大学院芸術学研究科修士課程修了。1999年、「Me and My Cow」(『幻想文学』第56号に収録)で作家デビュー。以来、雑誌『怪』や『異形コレクション』などで数多くの短編を発表。2008年、『人魚と提琴玩具館綺譚』(講談社ノベルス)で長編デビューを果たす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キキハル
31
10篇の幻想譚で編まれた短編集。物語の様々なシーンがくっきりとした輪郭で浮かび上がる。それは絵画的でひどく五感を刺激するのだ。薄いベールで閉ざされた向こう側の世界に、触れることができる気がしてくる。恐怖ではなく、生きて存在することの哀しみだろうか。古の小豆洗いや姑獲鳥、河童、人魚などから題材をとりイメージを膨らませた話は、切なく物悲しい。作者の無駄なく引き締まった文章は、短編に向いているのかもしれない。初秋の夜風に吹かれながら、どうぞ。2010/09/22
skellig@topsy-turvy
21
怪奇短篇集。それぞれに裏タイトルとして異形の名が入っているのは工夫を感じます。明快な解決のない、物悲しい話が多かった。結局何が起こっていたのだろう…と考えるのがまた怖くもあり、少々物足りなくもあり。見てはいけない、「誰でもない」ものとの邂逅を描いた「I see nobody on the road」が好き。アリスに言葉遊びとしてあったなあ、と思い出す。女の哀しみと怖さを感じる「Rusty Nail」は異形コレクションで読んだことあって、この人だったのかー、と思いました。2014/05/21
ハルト
10
ひそやかな夜の匂いと人でないモノたちの気配まといつく、幻想譚たち。異形のモノたちの恐ろしさ美しさ虚ろさに幻惑され囚われる。彼岸と此岸、夢とうつつの狭間に迷いこんだかのような作品たちばかりでした。異界への穴は、すぐそばにぽかりと空いているのかもしれない。2010/08/24
Maki Uechi
9
幻想的。「音楽」「女」をキーワードにした妖怪短編集。 「I see nobody on the road」が一番好き。以前ネットで読んだ怖い話を思い出した。2014/07/09
5〇5
7
怪奇幻想譚が10編収められています。文章はとても読みやすく、情景が頭の中に浮かんでくるようです。不思議で妖しい異界に引き込まれる感覚がたまりませんね。収録作品の半数以上は、井上雅彦氏監修の「異形コレクション」に初めて掲載されたものです。そのためか、どの作品にも最後に「異形」が顔を出します。どんな「異形」なのかは、読んでのお楽しみです。2024/10/10