出版社内容情報
父の壮絶な半生。新たな代表作ついに刊行。
直治の父は終戦後韓国に帰った義父母と義弟を助けるために、朝鮮戦争の戦火の下、父は単身半島に渡った。家族の絆を命がけで守り抜く姿を描いた、自伝的小説の決定版。
内容説明
「心配するな。何とかしてみよう」母は、泣き崩れて弟の救出を父に懇願する。失敗すれば、その場で捕縛され、射殺されるかもしれない。だが、父は平然と言った。朝鮮戦争のさなかの父と母とオジさんの話を聞いて、ボクは衝撃を受けた。かれらの強靱な精神力と勇気、限界まで頑張った人間の姿に。家族の困難が問われる時代にむけて贈る、著者渾身の力作小説。
著者等紹介
伊集院静[イジュウインシズカ]
1950年山口県生まれ。’81年短編小説「皐月」でデビュー。’91年『乳房』で第12回吉川英治文学新人賞、’92年『受け月』で第107回直木賞、’94年『機関車先生』で第7回柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で第36回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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千穂
32
朝鮮戦争と言えば軍需景気、38度線、板門店と言った言葉しか浮かばなかった。その時代を逞しく生きた在日コリアンの骨太な生き様を描いた作品。妻の義父母、義弟、自身の親族の為にまだ国交が開かれていない朝鮮半島に1人乗り込む宗次郎の比類稀な強さ。600ページを超える大作だったが、引き込まれてしまった。良かった!2022/05/26
meru
24
600ページを超える大作なのに、ものすごく引き込まれ夜中に起きてまでも読んでしまった。日本に住む韓国の家族が戦乱の中を生き抜く物語。主人公宗次郎の愛と勇気ある強靭な魂とで、戦地へ家族を救いに行く話。これ登録者数は少ない本ですが、是非お勧めしたいと思います。戦中からの日本と韓国の歴史が少しみえた気がします。間違い無く出会えて良かった本です。2023/05/02
Nak34
21
表題と表紙のイメージとは、全く違う大切な本。日本人が犯した罪、人が起こした過ち。吾郎と直治のその後を想う。同じ人間なのに、絶える事のない争い、そして、差別。同じ人間なのに。「GO!」も、良かったけど、これも、息子達には、読んでほしいなぁ。2010/10/14
なつ
20
覚悟を持って生きるということを、朧気ながらも読めた気がします。父としての強さ、家族の長としての決断。それは時として、子供には「頑固者、怖い父」として映るかもしれないが、自分が大人になり、背景がわかる歳になって、親の偉大さがわかることもある。先が気になって一気に読了。2015/08/26
がいむ
18
本の厚さと朝鮮戦争の悲惨さに少々時間がかかったけれど、考えさせられるすごい作品でした。「オヤジさん」と慕われる、静かなたたずまいだがとてつもない行動力のある宋次郎(これがお父やん)妻の家族のために単身朝鮮半島に上陸していくくだりはひとことで語れないずっしりとした重さを感じます。多くの人に読んでもらいたい思いが親しみやすいこの装丁に表れているのかもしれません。2011/02/09
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