出版社内容情報
たいへん長らくお待たせしました。井上夢人、10年ぶりの最新長編!
山梨県内の竜王病院で発生し、圧倒的な感染力で県内外372人を死亡させた新興ウィルス。<竜脳炎>と呼ばれる感染症から生還したのは、4人だけ。ひとりの意識は戻らない。彼らから取り出された「ドラゴンウィルス」は感染拡大を防ぐ一方、隔離生活が続く3人の生存者は不思議な能力を獲得していた。
内容説明
山梨県内で発生した致死率百パーセント近い新興感染症。生還者のウィルスから有効なワクチンが作られ拡大を防ぐが、発生当初の“竜脳炎”感染者で意識が戻ったのは、三名だけだった。病院内での隔離生活を続ける彼ら三名は、「後遺症」として不思議な能力を身につけていることに気づき始める。壮大なる井上ワールド、驚愕の終末―。
著者等紹介
井上夢人[イノウエユメヒト]
1950年生まれ。82年、徳山諄一との共作筆名・岡嶋二人として『焦茶色のパステル』で第二十八回江戸川乱歩賞を受賞。86年、日本推理作家協会賞、89年、吉川英治文学新人賞受賞後、同年、『クラインの壺』刊行と同時にコンビを解消する。92年、『ダレカガナカニイル…』でソロとして再デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
221
伏線の緻密さや理論的な文章といい語り口が魔術的。突飛な話を突飛でなくリアリティを持って読者を引き込む手腕の見事さ。映像的な内容ではあるがこの作品を支えているのは文章表現ならではの知的な技術だと思う。2012/06/22
財布にジャック
112
「著者9年ぶり待望超大作」を読了!本当に井上さんの長編を読むのは久しぶりなんですが、期待通りの出来ばえに、500頁以上ある分厚い本を一気読みさせていただきました。「クラインの壷」を思わせるようなSFですが、人類とウイルスの最終戦争というよりは、サイキックの悲しさや切なさが印象的でした。大きく広げちゃった風呂敷をどう畳むのか、心配でしたが、このラストに井上さんらしさを感じました。2011/05/12
ままこ
98
タイトルはファンタジックだけど内容は装丁のイメージ通り色んなことがクロスして混迷。致死率が高い未知のウイルスに感染し生還した京介とめぐみと興津。しかし彼らは「後遺症」として特殊能力を持つようになりこれまでの生活が一変する。場面描写も心理描写も巧みでリアルに感じられる。意表をつく展開に目が離せない。ラストの行方に光はあるのか…あって欲しいと願う。コロナ禍の今にも通じるSFパンデミック作品。2021/03/18
takaC
96
文庫で既読ながら気持ちを新たに読んでみたものの最後のオチはやっぱり難解だった。難解というかよくわからなかったというのが正しいかも。2016/05/20
オカメルナ
87
井上夢人になってからの作品としては初読。地元山梨が舞台と言う事で興味津々。出るわ出るわローカルな名称が・・・今まさに、そこの釜無川の土手で繰り広げられているようで見に行っちゃおうかなんて思うほど臨場感があった。致死率100%の未知のウイルスからたった4人だけ生還した京介達の凄まじい後遺症に、どうなってしまうのかとハラハラし通しだった。えっこれで終わっていいの?と思った最後の最後で一捻りされちゃたな!2011/09/18