内容説明
チョンノ美術館の館長パク・キリョンは、世界的な巨匠イム・ヨンスク回顧展の開催初日、館長室で自殺をとげる。その直前、パク館長は新進画家のキム・ジュンギに「美術館の鼠」という題の原稿とイムの画集を手渡し、謎めいたメッセージを残していた。館長の死は美術界を震撼させ、重鎮画家の不可解な事故死や失踪という一年前の事件にもあらためて捜査の目が向けられる。純粋たるべき芸術の世界にひそむ“鼠”の正体とは?深まる謎を解く手がかりは、一枚の絵に隠されていた…。韓国で大きな話題を呼んだ傑作アート・ミステリー。
著者等紹介
李垠[イウン]
ソウル生れ。弘益大学で美術と写真を専攻、美術学博士学位を取得。1996年「スポーツ・ソウル」の新春文芸短編推理小説部門に「ほくろのあるヌード」が入選し作家デビュー。2003年、韓国の推理小説読者から絶賛された『誰がスピノザを殺したか』を発表し、本格的な活動を始める。その後、美術品の贋作問題を扱った本格推理物『美術館の鼠』(2007)で注目され、コメディアンを主人公にしたスリラー『喜劇は終わった』(2008)や『不思議な美術館』(2009)などを発表、韓国の代表的な推理小説家の地位を確立した
きむふな[キムフナ]
1963年、韓国生まれ。ソウルの誠信女子大学と同大学院で日本文学を学び、専修大学日本文学科博士課程を修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みみずく
3
韓国絵画界を舞台にした美術ミステリー。有名画家の事故死、失踪に続き、美術館館長が自殺したところから物語が始まる。館長から謎のメッセージを受けとった新進画家ジュンギとキム刑事、それぞれ真相に向って捜査をする。美術館をめぐるいろんな疑惑が出てくるが美術館関係者は平然とお互いを怪しいという。犯人は金が現代の芸術だと嘯き、人の命をなんとも思っていないところが恐ろしい。芸術であれ金であれ崇拝し過ぎるとこうなってしまうのか…。最後の遺書のような館長のコラム「美術館の鼠」で少し救われた。2013/09/06
1O3O
1
寵物先生の流れでアジアミステリにも少し興味が。ということで第一弾は韓国。画家の謎の事故死、失踪、有名な美術館の館長が自殺。そして贋作事件の真相は?とにかく名前に馴染みが無い分、覚え辛い。男か女かも一見では分からない。それを乗り越えたら、サスペンス調でぐっと読み易くなる。本格と思って読むと肩透かしをくらうが、絵に秘められたメッセージが結構興味深くそれなりに楽しんで読めた。冗長でない点もまた良し!そして、芸術とは何か?芸術を芸術たらしめるものは何か?そんな問いかけがされる、案外奥の深い作品 2010/11/14
kujira
1
……ミステリ? まあそれはさておき、訳としてはあんまり良くないんじゃないかなあ、と思われる文章が残念。そして韓国人の名前って、西洋名前よりもさらに頭に入りにくい! イメージが湧きにくい! そのせいかあんまり楽しめなかった。2009/12/18
あんく
0
映像になったらおもしろそうだと思うけれど、読み物としては物足りない。謎解きも予想通りだったのはともかくとして、探偵役のジュンギがほとんど活躍しないし、登場人物たちと一緒に事件にあたっているドキドキ感がほとんど味わえなかった。美術品をめぐるさまざまな裏事情はおもしろかっただけに残念。そして翻訳も、美文をとはいわないまでももう少し練ってほしかった。2012/09/12
Jeanie
0
ハリウッド映画になるという、なるほど、そのまま脚本に使えそうなくらいの台詞で成り立っているおハナシ。つまり、話はすすまないし、広がりもなく、説明ばかりの推理小説。テンペストのドラゴンあたりのうんちくも必要なかったように思えるほど、物語が素人っぽい。 これが草分けとなって風の絵師なんかが生まれたらしい、ほぉ、出藍の誉れというやつですな、ふむ。2012/02/14
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