内容説明
独身教員のための「修身寮」に入寮した田中。彼に課せられた任務は、寮の内情をレポートする、それだけのはずだった―。見えない「戦争」に次第に組み込まれてゆく高校教師の煩悶を、饒舌な文体と不穏な緊張感で描く、現代の不条理劇。第52回群像新人賞受賞作。
著者等紹介
丸岡大介[マルオカダイスケ]
1980年新潟県生まれ。静岡県在住。2005年早稲田大学第一文学部フランス文学専修卒業。出版・編集プロダクション勤務を経てフリーに。『カメレオン狂のための戦争学習帳』で第52回群像新人賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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恋愛爆弾
10
小説も戦争もカメレオンみたいだねってか、でもこれ、全部「田中」なんだろ。よくわかんないけど、そういうことでいいじゃないか。2021/07/28
まるよし
6
スピード感あふれる文章に乗せて、寮生と組合員、とそれ以外(吉沢)たちで織りなすストーリー。田中はニュートラルに描かれるが、周囲は敵か味方かはわからない。どこからリークするか、情報戦でもある。静かな戦争であったが、途中で同じ部屋の3人で争いになり、学校でも争いが勃発して。真の中立は困難であり、カメレオンのように味方、場所によって色が変わるのだろう(変わって見えるのだろう)。2024/07/05
oz
6
初読。第52回群像新人賞受賞作でこれが著者の初単行本である。若手教員向け独身寮で不良教員や隠れ日教組教員を密かに監視するという舞台役柄設定が面白かった。<現実⇔非現実>感にどことなく筒井康隆を連想する。突飛な設定だが最後まで読めたのは饒舌な語り口、ひとえに著者の筆力の賜物だろう。見る人が見ればアラもあろうがこせこせした世俗の雑事にこまっしゃくれた講釈や人生訓を織り交ぜて書くような作品よりはこういうハッタリの利いた作品の方が断然面白いね。2009/08/31
ミツ
4
佳作。学校や寮を社会の縮図として描き、規則や管理といった権力体制とその中でパラノイアと化す人間を独特の言葉遊びでユーモアたっぷりに皮肉っている。 特に最後のマグカップのシーンと“われわれ”という人称を用いたのはとても印象に残った。 ただ悪く言えばそれだけでパラノイア、無関心に染まったシステム、可塑的な人称や戦争や教育に関する蘊蓄、情報の誤信といった意匠に思わず感心しそうになるけど何だか“虎の威を借りた狐”のように感じるのは気のせいかね?2009/12/29
押さない
3
本文より「文意はわかるが意図がわからない。」2018/12/02
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- 和書
- 労働法批判