内容説明
「いくら成績がよくたって、バケモノは雇えない」。見た目が理由の差別、偏見、人権侵害との闘いは、あのひと言から始まった。人との違いがあっていい。いろいろな人が世の中にいていい。誰もがそう思える社会を目指して―。
目次
第1章 差別だらけの容貌障害
第2章 この声が届きますか
第3章 いつでも「無知」が悲劇を呼ぶ
第4章 胸を張って生きていくために
第5章 人を元気にする「藤井式コーチング」
第6章 今、容貌障害と決別のとき
著者等紹介
藤井輝明[フジイテルアキ]
1957年、東京都国立市に生まれる。医学博士、看護師。桐朋高校を経て、中央大学経済学部、千葉県立衛生短期大学第一看護学科を卒業。筑波大学大学院修士課程(健康教育学)、名古屋大学大学院医学研究科博士課程(健康増進科学)修了。飯田女子短期大学専任講師、岐阜医療技術短期大学助教授、熊本大学医学部保健学科教授、鳥取大学大学院医学系研究科教授を経て、東京大学大学院客員研究員、日本健康医学会学術評議員。顔に病気や傷のある人たちに対する偏見をなくすため、全国の学校や自治体で講演・交流活動を続けながら、福祉施設や老人施設、病院で医療や看護の研修指導にあたるなど、幅広い社会活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あじ
49
【容貌障害とは】先天性、後天性に関わらず怪我や病気によって、見た目に問題を抱えていることを言います。以前統計で読んだのですが、日本人は外見に対するコンプレックスが強い傾向にあるそうです。にも関わらず容貌障害の方々に向け、悪意の視線や暴言を吐く人々が後を絶たない現状に胸が痛みます。著者の藤井さんは、容貌障害と共に歩んできたお一人です。当事者が社会に出てゆく事で、社会が多様であることを世間に示せると仰り、医学部教授として後続を育てていらっしゃいます。差別、偏見、いじめが著しい容貌障害を資する書籍でした。2017/04/14
kinkin
40
「容貌障害」という言葉を知った。いくら「人は外面より内面の方がずっと大事だ」と皆は言っても、いざ障害を持つ人と向き合った時はどんな感情を持つだろう。自分は、自分だけはと思いつつ差別や気持ち悪いという感情が先立つのではないだろうか。それを本人に直接罵声を浴びせる人、陰口をたたく人たち。著者は、人に対しての接し方に絶対やってはいけない事があり、そのことを子供のうちから叩き込むことも大事だと書いている。著者の書いた本は他にもあるようだ、機会があればまた読んでみたいと思った。2014/08/22
かおる
17
読友さんに教えて頂いた本でした。読んでみて、ご本人のお話はもちろんですがご家族の方のお話も胸が締め付けられました。酷い言葉を平然と吐く人がいることにも驚かされました。家庭内での話が大事とあり、早速子ども達に色々話してみようと思います。教えて下さった読友さんに感謝です。2017/04/24
G-dark
13
顔の一部が大きく膨れ上がる海綿状血管腫を患う著者の本。生まれつき又は後天的に好奇の目に晒されがちな容貌となり、生き辛さを感じている当事者やその家族の話が紹介されています。生まれつきあざのある女性が子どもとスーパーの駐車場を歩いていたら、通りすがりの見知らぬ男性が「おまえのお母さん、汚い顔だなあ」とその女性の子どもに言って立ち去った、というエピソードがP81に書いてあり、わたしは目眩がしました。その場にわたしが居合わせていたら、その男性に「あの女性の顔は汚くない。汚いのはあなたの心ですよ」と言いたかった!2019/07/21
袖崎いたる
12
それを否定してもその人がその人である上では改良・改善しようがないものに対して自他の比較から劣等や異端の誹りを加える人がいる。そう言わしめるような〝違い〟とは個性であり、当人が愛憎悲喜こもごもながらも自己愛に組み込むより仕方のないような何かであるはずだ。著者は「学びとその習慣」でもって差別をしないような人格形成を訴える。リアルだけでなくネットにも見つかるような心無い言葉というのは、相手が自分と同じく愛されて生かされてきたという無数の絆が一点に凝集されているような現存在への配慮がないからではないかしら。2016/05/26