内容説明
児童文学の人気作家が初めて贈る大人たちへの７つの物語。ひとから見たらささいなこと、でも自分には大切なこと。人生は、そんなトラブルに満ちている。あらゆる世代の女性たちのこころを優しく繊細に描き、勇気をくれる小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
101
誰しもが体験したであろう想いが優しく描かれていました。人と人の付き合い方は時に苦しくなる。それが女性同士ならなおさらですよね。常に人との関わり方で悩むので、全ての物語に共感できました。小さな世界かもしれませんが、だからこそ抱えるものがあるように思えます。2017/10/24
うしこ＠灯れ松明の火（文庫フリークさんに賛同）
67
いくつになっても人間関係の悩みはつきないもの。子どもには子どもなりの、そして大人には大人なりの悩みが。様々な人間関係の悩みを描いた連作短編集。「卒業、首なしリカちゃん、ピンクの神様、みどりの部屋、囚われ人、魔法の時間、ベランダからキス」全７話。男同士の付き合いとはまた違う女ならではのドロリとした人間関係。同じ女として彼女らの気持ちが手に取るように分かるだけに息苦しかったです。とはいえ最後にはきちんと救いが用意されていたので、気持ち良く本を読み終えることができました。「みどり」と「魔法」の話が好き。★★★★2012/09/24
tokotoko
62
人とかかわるって楽しいこともいっぱいあるけど、傷つくこともいっぱいあります。そうしてできた傷をかかえながらも、不器用に、懸命に、何とか今の居場所で生き続けようとする７人の女性達の物語です。消防士、お母さん、学生、OL、文具屋さん・・・。いろんな場所でふんばる彼女達から、勇気や逞しさやしぶとさ、そして、小さいけど、全部違う風合いの「幸せ」も、受け取ってね！2014/10/17
なゆ
49
おんな同士の人間関係の複雑さに共感いっぱいの短編７つ。うまくやろうとすればするほど、うまくいかないんだな。子供も大人も、なりたての消防士も、転職間もないＯＬさんも、入園直後のママ友探しも。「魔法の時間」の子供らしい思い込みや、「ピンクの神様」のイラ立ちからの残酷さとか、子供の書き方うまいな～と思ったら、もとは児童書のほう書かれてたのですね。自分だけ誘われない不安とか、ここにいない人の悪口とか、いくつになっても同じような事で悩んで…そしてやっとみんな何かに気付く。現実でもそんな風にうまくいくといいんだけど。2014/05/01
むぎじる
42
ささやかなもの、心が重苦しくなるようなもの、さまざまな悩みを抱えた女性たちが登場する短編集。ストレスを発散させるためには、その原因を改善させなければ解決しない、と聞いたことがある。もちろんそうできたらいいけれど、なかなか難しい。違うことで発散したり転嫁して、原因から逃げてしまうほうが楽だから。逃げても解決しないのはわかっている。逃げずに少し足を止めることができたら、ちょっとしたきっかけが突破口になるかもしれない。痛々しいところもあったけれど、明るい兆しが感じられてよかった。2013/08/11
