出版社内容情報
「講談社児童文学新人賞」「日本児童文学者協会新人賞」受賞の長編ファンタジー、いよいよ佳境へ!
天が作ったものに、人は手を加えてはならない。
「あの星は、<朱烏>と呼ばれていた。(中略)この国の伝説で、暁から生まれた三本足の朱い烏のことだ。そして別名<王の星>。我々、王族の星だったのだ。北の空の中心に位置する<北天星>が、天の帝を表す星であり、そのすぐそばに仕える地の王の星というわけだ」――<本文より>
菅野 雪虫[スガノ ユキムシ]
著・文・その他
内容説明
イウォル王子と共に“巨山”へと向かうソニン。国境付近で捕らえられた“森の民”を救うためだった。一方、自分の将来を考え始めている親友ミンや、兄王の傍らで着実に仕事をこなすイウォル王子を見ているとソニンは自分が取り残されていくように思えてしまう。やがてソニンはこの北の国で孤独で賢明な王女イェラに出会う…。「講談社児童文学新人賞」「日本児童文学者協会新人賞」受賞の長編ファンタジー、いよいよ佳境へ。
著者等紹介
菅野雪虫[スガノユキムシ]
1969年福島県浜通り生まれ。2002年「橋の上の少年」で第36回北日本文学賞受賞。2005年「ソニンと燕になった王子」で第46回講談社児童文学新人賞を受賞し、改題加筆した『天山の巫女ソニン〈1〉黄金の燕』でデビュー。同作品で第40回児童文学者協会新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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☆よいこ
77
児童書。YA。巨山(こざん)の国の話。イウォル王子とソニンは国境付近で拘束された森の民を引き取るために、巨山の国へ行く。戦後国交が途絶えた巨山王との交渉をするために王宮を訪れたイウォル王子は、その豊かな様子に圧倒された。▽「才能がない」と天山を放逐されたソニンが、絶望したりすねたりせず、ただただ素直に自分の生きる道を模索していく姿に心動かされる。▽あったものが無かったことにされ、勝者の理で歴史改ざんされていく怖さを感じた。一方で無くしたくないとあらがう気持ち、忘れないという決心に感動する。良本。2021/08/26
七色一味
42
読破。今度は北の国巨山が舞台。そして、この物語の主要キャラクターの全てが登場する巻でも。なんとも不思議な、そして野性味溢れる王女イェラという、静かなんだけどこれまたクセが強いキャラ。そしてもうひとり、まるで影のようなキャラもその姿を垣間見せます。クワンやイェラに比べると、その親達は普通?巨山王はそれなりに変人に見えるけど(笑)2018/08/06
リリー・ラッシュ
26
巻が進むごとに、ソニンとイウォル王子は大きく成長していく。それは二人が共に居るから得られる成長。「今のわたしが必要とするのはおまえだ。ソニン。わたしのめざすところを理解し、至らないところを補ってくれる。おまえのような者が必要なのだ」この言葉にソニンは温かな自信を得る。残るのは学んで覚えたこと…。「きっとわたしはどんなことにも耐えられる。何を失ったって、わたしがわたしを失うことさえなければ、こうして新しい朝を何度でも迎えられるんだ」この二人、これからどんな成長を見せてくれるのか、先を読むのが本当に楽しみ♪2018/10/07
シェルティ
22
隣国「巨山」にイウォル王子と行くことになったソニン。そこで王女イェラと出会う。またまた森の民の反乱(イウォル王子が拉致される)に巻き込まれそうになるが、イェラの協力もあり大事にはいたらなかった。物語はどんどん三国の勢力関係を交え進行していくが、今回は後半の記述にあった文章に感銘を受けた。「身の丈に合わない立場は気の毒」「才能がなくても見ることと考えることはできる」世の中身の丈以上に虚勢をはりたがる人間や、才能がないとあきらめてしまう人間が多い。自分も含めてだが、身の丈にあった生き方が大事かなと思う。2013/01/19
ほたて
21
イェラ王女の登場でますます物語に深みが増したような気がします。気高く近寄りがたい孤高の存在、だけどミンとは違ったソニンの特別な存在になるといいのにな。イウォル王子やソニンの成長が楽しみ。セオは謎の存在のまま次巻につづくのかと思いきや不穏な空気、続きが気になります。2015/04/26