内容説明
なぜ、狙われたのか。老テロリストを決起させたのは、尖鋭化していく「時代の空気」だった。政治家の一言が、人を動かし、時代の歯車を回す。政治家にとって、言葉とはなにか。覚悟とはなにか。迷走する「ナショナリズム」の行方。
目次
プロローグ ものすごい熱気
第1章 あの日
第2章 私はなにを発言してきたか
第3章 戦争の記憶
第4章 私の中国体験
第5章 言葉に生き、言葉に死んだ政治家たちの語録
第6章 「時代の空気」
第7章 さまざまなナショナリズム
エピローグ 真犯人
著者等紹介
加藤紘一[カトウコウイチ]
1939年生まれ。東大法学部卒。外務省中国課勤務などを経て、1972年の総選挙で初当選。以来、当選12回(山形第三選挙区)。官房副長官、自民党総務局長、防衛庁長官、官房長官、政調会長、幹事長など要職を歴任。2002年議員辞職するが、翌年の総選挙で当選、自民党に復党した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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禿童子
10
自民党の穏健路線を代表する人の自宅兼事務所が放火されて全焼、放火犯は現場で割腹自殺を図るというショッキングなニュースはいまだに記憶に残っている。その衝撃がさめやらない時期に冷静に自分の所信を語る加藤紘一も今は故人になってしまったが、やはり貴重な存在だったと思う。中国人の一人当たりGNPが3千ドルを超えれば共産党独裁体制がゆらぐという見解と小泉首相の終戦記念日の靖国参拝に対する批判が印象的だった。2017/02/16
Melody_Nelson
3
2006年に出版された本のようだが、既に日本会議への警鐘を鳴らしている。当時の自民党の中には、こうしたリベラル寄りの実力者がいたのだろうけど、今は…。この本の中に、「自民党内で『日本とは何か』というテーマに直面すると、数年前まで『教育勅語を読みなおそう』となり、実際に皆で読んだものの、答えが出なかった」というような記述がある。加藤氏がご存命であれば、現在のこうした状況をどう思うのだろうか。2017/05/21
Hiroki Nishizumi
2
面白かった。加藤紘一と言えば少し残念な印象があったが、なかなか優れた人物だ。特にテロルの真犯人としている考察は(ネタバレになるので記述は避けるが)これから注意していかなければならないと思った。また我々のように体験していない世代は、往々にして戦争というものの現実がわからなくなりがちだ。あらゆる視点から戦争の本質を考察していきたい。2012/06/10