出版社内容情報
『帰ったら母親が死んでいました。ネットを通して、誰かに安楽死を依頼したみたいなんです』少女からの通報で警察に衝撃が走った。SNSを通じて安楽死を希望する者に処置を施すのは、警視庁捜査一課の犬養隼人が女性刑事・高千穂とともに過去に追い詰めた連続殺人犯〈ドクター・デス〉の手口だったからである。拘置所にいる〈ドクター・デス〉に共犯がいたのか、それとも〈ドクター・デス〉に同調した模倣犯が現れたのか。犬養最大の敵が再び現れる。どんでん返しの帝王が放つ、息もつかせぬ警察医療ミステリ!
内容説明
母は安楽死を200万円で買ったのか?難病を抱えた母が安楽死を選択したらしいと少女から通報が入る。続いて国民的女優の死が報じられたことで世論は沸騰―積極的安楽死は医療行為か嘱託殺人か?かつて警視庁捜査一課の犬養隼人をぎりぎりまで追い詰めたドクター・デスの模倣犯が現れたのだろうか。捜査に行き詰まりを感じた犬養は、誰も思いつかない奇策を放つ!
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年、岐阜県生まれ。2009年「さよならドビュッシー」で第8回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、翌10年にデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
318
中山 七里は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。犬養隼人シリーズの最新作は、安楽死警察医療ミステリでした。 私は、積極的安楽(尊厳)死肯定派です。さっさと法整備を進めて(倫理的な問題があるなら、納得感のある制約を設けて)、観光立国として、医療ツーリズムを取り込んで欲しいと考えています。御子柴礼司は、名前だけの登場でした(笑) https://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g322402000097/ 2024/07/02
tonnura007
227
死亡したALS患者に安楽死の疑いが。血中から検出された薬物と電解質異常からドクターデスの模倣犯の可能性が示唆される。犬養刑事は捜査に乗り出すが、安楽死による死者はさらに増える。 安楽死という難解なテーマを主軸にした作品。被害者自身が被害者と思っていないところが非常に難しいところである。ラストはやや性急だが著者らしいどんでん返しともいえる。安楽死の議論は甲論乙駁だが、国家が安楽死を法制化する背景には医療費削減の思惑があるように思えてならない。前作は未読でネタバレになったが、テーマが興味深く是非手に取りたい。2024/10/30
hirokun
165
星3 前回のドクター・デスシリーズに続き安楽死をテーマにした作品。簡単に答えを出せない問題であり、法制化を進めた時に考えられる課題についても分かり易く記述されていると思う。中山さんの作品の良いところは、分かり易い文章で作品に引き込まれるように読むことが出来ることだと思うが、今回の作品についていえば、テーマ設定は興味深いものであり、なおかつ時代をよく反映したものだと思うが、推理小説のストーリーとしては些かお粗末で、あまりに現実からかけ離れた展開とラストが最初から想像される結末になっていると思う。2024/06/23
いつでも母さん
152
いくらなんでもこれはヤバいんじゃないか?警視庁捜一・犬養隼人の忸怩たる思い・・ってそこに行く前に危なっかしくて、誰か真面目に止めなさいよ!って感じの第五章。本作の趣旨は安楽死だよね。それはもう真剣に考える時は来てるって思ってるが「手段が違法ならテロと同じだ。」って全くその通り。このシリーズはどこまで行くのだろう・・段々不安になって来た。そんなおかしな読後感。2024/06/22
モルク
147
ドクター・デスの模倣犯か、安楽死を幇助する者が現れ、事件は連続し往年の映画女優までとなり、政治家も巻き込んで世間はざわつく。しかし犯人の姿を掴めない犬養刑事。Jsギルドを名乗る犯人を見つけるも、追い詰めることはできるのか。そんなとき犬養はあり得ない策に出る。吉と出るか…安楽死を再び考えさせられた。回復も望めずただ苦しいのみの状態でゆっくり死への道が続く。本人のみならず看ている方も辛い。かといって…この問題の結論は出ない。さては再びこのテーマで続編はあるのか。2024/09/07