明日なき身

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  • サイズ B6判/ページ数 188p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062136426
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

全国民必読の書!
テレビなし、新聞なし、ガスなし。生活保護に頼るよりない惨めな零落のきわみで、どっこい1人の作家が生きている。――文芸評論家・清水良典

毎月、5日が“セイホ”(生活保護)の支給日。2、3日前になると、きまって金がなくなる。コインだけになり、セブン‐イレブンのむすび、最低1個100円のを、1日ひとつ喰うことになる。それも買えなくなって、何も喰わずひたすら5日を待つときもある。――<本文より>

内容説明

妻に逃げられ、生活保護を受けながらも、自分勝手なダンディズムを貫いて生きる。下流老人社会を予見する、21世紀の老人文学。

著者等紹介

岡田睦[オカダボク]
1932年、東京生まれ。慶應義塾大学卒。家庭教師などを経て文筆業。三人目の妻と別れた後、生活保護と年金で暮らしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

9
君は想像出来るだろうか? 寒くて暖房がないから風邪を引いてしまい、鼻をかんだティッシュペーパーに火をつけて暖まろうとする老人の気持ちが? あまりと言えばあまりにもセコい著者の生活がここには凝縮されている。悲しいとか可哀想とか、そんな言葉もはねつけるかのようにポイポイと自分の身に起きたことを書き続けるだけだ。「下流社会」「高齢化社会」を生きる私たちは、今こそこんな時代を先取りし過ぎている作家の作品を読まなければならないのではないだろうか? とんでもない作家を知らずに済ませて来てしまったものだと改めて驚嘆した2015/11/21

ユカ

8
コンビニの店員に嫌われているようだ…と悩む老人。初めはヒドイなぁ、そんなあからさまに、と店員に腹をたてたけど、その後の入浴の場面で「5年ぶりの風呂」 ! とある。それだよ。臭いんだよ。店長にも来るな!と怒鳴られていたけど、老人側からの目線だともう、辛い。鬱で不眠でお金なくて腰痛、胃も悪い、筆致が淡々としているので悲壮感はないが、誰でもこうなる可能性はあるのであって、それをみんな知ってるから簡単に人生は変えられない。それにしてもアパートで火事起こしといて民生委員に「薬燃えたから病院頼むね」シンプルな人生だ。2020/08/20

おにぎりの具が鮑でゴメンナサイ

4
私小説の遥果が真っ赤な裸を晒すことであるとするなら本書は紛うことなき極北の一等星である。元来は詩人であるらしいのだが趣などは微塵も感じられず、主語のない話は何のことやらどころか逐一脱線を繰り返すので厄介このうえない。だらしがないのにどうでもいいことにはやたらと拘り、主張と弁明がこれまた説得力の欠片もなくて、せめて文学と認知せねば憐憫の業火に焼かれて悶絶してしまう。とか思ってたら本人自らが寒さを凌ぐために雑多な居室内で焚き火を敢行し、アパートを全焼に至らしめ、保護施設をたらい回しにされるエンディングは秀逸。2016/02/07

yoyogi kazuo

2
「ムスカリ」「ぼくの日常」「明日なき身」「火」の四篇を収録。独居老人私小説というジャンルは、二十一世紀の超高齢化社会において発展すべきと思われ、これらの作品はその先行者として重要な位置を占めていると思う。「火」は「ムスカリ」を読んだ坪内祐三が自らの雑誌「エンタクシー」に書いてもらいたいと思って依頼した作品。そこには衝撃的な生活が記されていた。こういう状況にある人がこういう小説を書き得たということ自体が衝撃である。2022/02/06

Minno

1
読みにくいことこの上ないが、だんだん、この老人の目に映るものを一緒に見ていることに不思議な安らぎを覚えてくる。ご本人にも、書くことこそが、このあまりにも淋しく悲しい現実を価値あらしめるものにする唯一の手段だったのでしょう。単純な「ウツ」ではなかったんじゃないだろうか。さぞかし、彼にとって世の中は暮らしづらい場所だったことでしょう。それでも「書く」ことが彼を救ったと思います。芸術家だと思います。若い頃書いた物語も読んでみようと思う!2021/06/25

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