- ホーム
- > 和書
- > 新書・選書
- > 教養
- > 講談社ブルーバックス
内容説明
昭和32年、売春防止法の施行により、まさに赤線の灯が消えようとしている時、東京地検をドロップアウトした元特捜検事・敷島航一は、夕子という娼婦と巡りあう。そして、政官を巻き込んだ売春汚職、読売新聞記者の「不当逮捕」事件、検察庁内部の派閥抗争という時代の流れに、否応なく巻き込まれていく。夕子との愛に生きようともがきながら、敷島は奈落の底に落ちていく。
著者等紹介
赤井三尋[アカイミヒロ]
1955年、大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ニッポン放送に入社。2003年、『翳りゆく夏』で第49回江戸川乱歩賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
RIN
26
著作権上の問題で絶版になった乱歩賞受賞後第一作。舞台は昭和30年代前半。元検察官前弁護士で現探偵の敷島が主人公。政治家の汚職や検察内部の権力闘争、赤線廃止の攻防等々、時代色豊かに背景が語られる。この時期の日本はまだ戦後を引き摺り国際社会に早々と復帰したくていろいろな矛盾を孕んだまま強引に進んでいった感じ。明治の日本みたいな感じだろうか。整備される社会システムに日本人の心が置き去りにされているかのようだ。奥田氏『オリンピックの身代金』と時代の空気感が共通している。2段組みの400頁の読み応えはあり。2015/10/22
かめぴ
10
面白かった~。基本的にフィクションですってあとがきが、逆に笑える。実在の団体、個人名がバンバン出てくるものだから、よりのめり込めた感じ。長かったけど、これからも赤井氏読みます。誰が演じるか映画のシーンが思い浮かべられる長さだわ。2016/09/24
ren5000
6
昭和30年代に起こった実際にあった事件とからませて元特捜検事の主人公が辿った純愛小説って感じなんだろうか?ここに出てくる登場人物が結構実在の人物なのでこんなこと書いていいの?ってところもしばしばあってそれがかえってこの物語の時代の描写に迫力を与えていたと思います。いつの時代もそうだが、権力を持った人は恐い。それがこの時代には如実に現れていたのかなとも思う。面白かった。2012/06/24
うめけろ
5
主人公がどうして夕子にそこまでのめり込んだのかがほとんど語られていないので、その点についてはイマイチついていけませんでした。しかしまあ、それくらいは目をつむっても余りある面白さでした。自分も昭和30年代にタイムスリップしたつもりで読むと、時代背景と合わせた面白さが増しました。2012/05/09
もみひげ
4
全体として、話の流れが唐突だったり、内面の描写が不十分だったりだが、細部に光るものを感じた。どこまでが真実なのか恐ろしい。それとも、この事件に詳しい人にとっては“ぬるい”描き方なのだろうか。この事件群を教えてくれたことには感謝するが、いかんせん主人公に一番厚みがない。ヒロインに惚れるのも、アナーキズムに傾倒するのも、物語を進めるがため行動にしか映らない。光るのは、検察の内部闘争と、刑事の執念の捜査の描写。もう少し読まれてもよい作品だし、もっと読まれてもよいテーマだと思う。2012/02/08




