内容説明
11歳の少女が同級生にカッターナイフを振り上げた。いったい、なぜだ?少年院の鉄のカーテンに包まれた真実に、激しく迫る。
目次
事件発生
一一歳の少女
最終審判
国立きぬ川学院
保護者たちの証言
父親の故郷
コミュニケーション能力
父親独占インタビュー
同級生の証言
菜の花とヒマワリ
担任教師独占インタビュー
診断名
後遺症
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スノーマン
23
周囲の無理解、無関心が、加害者である彼女を『普通の子』と見せかけていた、と最後にまとめてある。確かに作者は取材を進めた上でそう感じたのだと思う。事件後の学校の対応も保身しか考えていないために児童や保護者の不信を招き、尚混乱している。この事件は加害者の発達障害的要素だけが原因ではないのは間違いないと思う。家族でも教師でも友達でも何でもいい、何とか事件前に気付き止めて欲しかった。無関心、見えないふりは罪やし、自分の子をきちんと客観的に見ることは本当に大切。2013/11/29
プクプク
13
この事件を知った時の驚きからもう10年以上も経っている。読み始めて、そうだった…と思い返した。どうしてこういう事件が起こったのか疑問だった。加害者の女児のこと、担任のこと、同級生のこと、その地域の様子、様々なことが少し見えた。親兄弟から愛され好きなことを言える環境で育つことってすごく大切なんだと考えた。二度とこういう事件が起こらないように加害者の再教育に多大なお金を費やすことも重要だけれど問題点を見つけみんなで共有することも大切だと感じた。2015/11/03
澤水月
12
加害児童周辺を丁寧に聞いて回っており、担任が如何に事なかれだったか、学校信じがたいことに関係ない「被害者になったかもしれない男児」を障害者と決めつけ発表しPTSDに追い込んだか暴く。これはかなり社会環境悪かった…7、8年…加害女児は治療できたろうか。自分に加害女児重なる部分ありつらくなった2014/02/11
鬼灯の金魚草
6
普通の子と言われた子が同級生を殺害してしまった事件を丁寧に追った一冊。 発達障害でも生きにくい世の中なのに頑張っている子がほとんどなのだから、障害のせいで人を傷つけると思われては困る。もし、この女児にアスペルガーがあったとしても親が見過ごしてしまい、教師にも恵まれなかったのが残念でならない。ちゃんと公にしてもっと話し合う事でこんな事件が二度と起こらないようにするべきだと思う。2014/04/03
Humbaba
6
現実は一つしかないが,それに対する解釈は無数にある.そして,基本的に自分自身に関することであれば,その解釈は甘いものとなる.人物に対する評価も,自己評価と他者評価では天と地ほどにも違うということがある.2011/10/12