内容説明
化物たちが「笑い」と「化かし」の世界を珍道中。
目次
第1部 江戸の化物世界へようこそ(生臭い人魚たち;陽気な鬼娘と仲間たち;恐ろしき髭女;化物の親玉対決 ももんがあ対見越入道;江戸の不思議な鯨たち;狸の金玉は八畳敷;お化けの幽霊)
第2部 化物のエロス(化物の恋いろいろ;花魁の意地;花魁道中;遊女の思い;化猫遊女と油嘗めの禿;夜鷹の真相)
第3部 化物の衣食住(所帯道具の忠臣蔵;豆腐小僧の紅葉豆腐;芋たちの地獄と蛸のお化け;河童の大好物とは?;怖い道具・便利な道具・愉快な道具;化物の履物と大足のお化け;日本髪のお化け)
著者等紹介
カバット,アダム[カバット,アダム][Kabat,Adam]
1954年、アメリカ・ニューヨーク市生まれ。1981年に来日、東京大学大学院総合文化研究科博士課程を経て、武蔵大学教授。専攻は近世・近代日本文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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印度 洋一郎
1
江戸の幻想文学研究家の著者による、江戸の化物本の世界を、黄表紙だけでなく、その前身である赤本や後身である合本など、絵入大衆文学「草双紙」全般に渡って紹介。このテーマで既に数冊の著作があるが、本書は化物をより種類別に論じた化物図鑑の趣も。見越入道、豆腐小僧などのメジャー系はもとより、人魚、八畳敷の狸、道具の化物(九十九神の末裔)なども網羅。寛政年間に江戸湾に侵入した鯨の事件にインスパイアされた話は、まんま怪獣映画ノリ。日本の怪獣文学の原点かもしれない。雪女の花魁や化猫の遊女といったエロチックな化物も楽しい。2011/04/02
私的読書メモ3328
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江戸時代と、その文化のおもしろさが伝わってきて、とても興味を引かれました。なんとか原典を読んでみたいです。また、著者自身の意見や感想、そこに滲み出る人柄にも好感が持て、非常におもしろかったです。良い本でした。2015/12/05
ゆこぅ
0
こないだ読んだ『江戸の可愛らしい化け物たち』と構成も内容も被る部分は多いけど楽しめた。芋たちの地獄がシュールで衝撃だった2015/08/22
hi
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タイトル負けして借りてきた。江戸時代の化け物を楽しめる一冊。多分入門でいいんじゃないかな?土瓶のお化け可愛い。芋地獄って誰得だよ〜笑とか、ファンキーなお化けたちも楽しいけど、一番おもろいのは、ニューヨークに里帰りしても「ここに化け物はいないな、寂しい」とか思ってしまう著者のお化け愛でしょう。2014/12/09
紅独歩
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タイトルと異なり、ももんがあと見越入道はそんなに派手に対決していない。(笑)有名キャラが垣根を越えてからんだり、作者が自作にツッコんだりする様は、いまの同人誌のノリに近いものがあるように思う。いわゆる民俗学的な「妖怪」ではなく、二次創作・萌えキャラとしての「化物」の姿は、意外なほど現代に近い。読めばかならず、目からウロコが何枚か落ちること請け合い。2012/01/19